父へのお願い、五女の研究

遊ぶ時間を貰ったロレンは父の元へと向かっていた。理由は叔父さんに会わせてくれると言ったのがいつなるのかを聞く為だ。牧草地を歩いていると羊達の毛刈りをしている父を見つけた。


「父さん、叔父さんにはいつ会えるの?」


「ん、あー兄貴には手紙を書いて出したんだが、なにぶん遠くてな届くのに一月は掛かるんだ。まあ兄貴の商会には空間系のモンスターと契約してる人がいて手紙が届いたら都合がつく日を連絡してくれるぞ。まあそれまでの辛抱だな。」


そんなに掛かると思っていなかったのか

「えー、そんなに待つの!!」

と驚いていた。


すぐできないとわかったロレンは父に冒険者のことを聞くことにした。


「じゃあ父さん、冒険者やってたって本当?」


「ああ父ちゃんは冒険者をやっていたことがあるが母ちゃんの授業で冒険者について習ったのか?」


「うん、母さんの授業で習った。それでランクについて母さんが父さんに聞きなさいって。」


その答えに父は

「ランクってのはいわゆる強さの指標だな。上からR SSS SS S AAA AA A B C D E Fって12のランクがあってプロとアマチュアが同じ審査で出される。父ちゃんはなんと一番上のRランクだぞ。」

っと言ってポケットから会員証を取り出して見せてきた。会員証には父の顔と名前と冒険者連盟プロ冒険者公認とRの文字があった。


ふとここでロレンは疑問に思った。

「あれ、どうして読めるんだろう?」


そうロレンは未だに文字を習っていない。なので読めるはずがなかった。するとファニが突ついてきた。そして、触手を伸ばしてロレンと自分を指す。ロレンにはファニの伝えたいことがわからなかったが父にはわかったらしい。


「ファニはロレンとファニの間で結んだパスのことを言ってるんだよ。朝説明したろ。」


そう聞いてロレンは納得した。つまりだ、ロレンはファニとのパスを繋いだ影響で本来読めるはずのない文字を読めた訳だ。


「父さんはプロなの?」


「ああそうだぞ。冒険者でプロになる為にはある試験を受ける必要があってな。なんとその試験は毎年10000人以上受けての合格率はたったの0.0001%だ。つまり合格者1人ぐらいってことだ。そんな試験に受かったんだぞ。どうだ、凄いだろ。」


とまぁ息子に良いところを自慢したい父。


「うん、凄いよ父さん。僕も父さんみたいな冒険者になりたいから父さん僕とファニを強くしてよ。」


と父を煽てて海老で鯛を釣ろうとする息子


「いいぞ。ファニの特訓は無理だがロレンお前の基礎はやってやる。ただし、俺のつける訓練は厳しいし、遊び時間も無くなるがそれでもやりたいか?」


なんと、5歳児の遊ぶ時間がなくなるまでやらせるつもりだぜこの父親。


「やる!!」


それに対しロレンは元気な返事だ。5歳児と言ったら映画で話題になっているS県に在住している赤い服に短パンを着た人物が遊びまくっている時期である。


「良し、今日の母ちゃんの授業が終わり次第訓練してやる。ビシバシ行くぞ。朝もあるからないつもより早く起きろよ。」


この父親、子供の精神を作る遊びをさせない気である。その後、父は仕事に戻った。


まだお昼までには時間があるが外で遊べるほどではないので、牧場のチーズで実験をしているレナ姉さんのところに行ってみよう。


歩くこと5分ほど、チーズを保管している家の近くの涼しい洞窟を改造してあり各部屋に別れており発酵のさせ方によって温度が違う。部屋の中には羊や山羊、牛、水牛と言った様々な乳で作られたチーズが並んでいた。目立つものには青黴あおかび白黴しろかびなどを生やしたチーズもあった。後は臭いチーズだ。毎日塩水で洗ってるのに臭い。実はこれが結構人気があり一番の売れどころでもある、なんでも独特の味がお酒と合うんだとか。父も夕食が終わった後にお酒と芋虫と一緒に食べている。


しばらく奥に進んでいるとレナとマッコリを見つけた。


「レナ姉さん、チーズの研究進んでる?」


ロレンが話しかけるとレナは気がついたのか質問に答えた。


「うーん、あまり進んでいない。黴がスライムに似た性質を持ったモンスターだとはわかった。しかし、どうすれば美味しいチーズになるかは研究中。」


姉、かなりの研究気質である、将来は学者かな。


「黴ってモンスターなの?」


5歳児相応の質問のロレン君。教えてレナ先生!!


「多分、苔に似ているけど植物と違って葉緑体、葉緑体とは植物が持っている器官の一つで光合成をするものが無かった。それで調べたらファニと同じスライムの原種とされるノーマルスライムの性質である有機物、燃える物を分解していることがわかった。」


教授それでは、ロレン君には解りません。


「レナ姉さんは物知りだね。」


生徒に気を使わせてるよ先生。


「母さんの授業で習った。母さんは不思議、授業でやることが自然頭に入ってくる。きちんと授業を聞いてさえいればどんなことでも覚えられる気がする。父さんではこんなことなかった。」


母、マジ万能!!先生の鏡である。


「へえ、確かに母さんの授業って不思議だよね。今日の午前の授業で言われたことがスッと頭に入ってくる。それでかびとスライムって似てるの?」

と弟の純粋な疑問によるによって姉はメロメロになった。先生、不純異性交遊は良くないと思います。(血の涙を流す童貞)


「うん、そうだよ。凄い似てる。ロレンも一緒に実験する?」


姉は今までにないくらい目をキラキラ?させながらロレンに尋ねてくる。その反応にロレンは心底申し訳なさそうに、

「ごめん、レナ姉さん僕これからは遊ぶ時間を父さんに訓練して貰う事になったんだ。だから時間が取れないんだ。」


姉、本日2回目となる天からの使いに召されかけた瞬間である。またもやマッコリが寸でのところを体当たりで連れ戻す。それで息を吹き返した姉は


「ロレン、父さんに脅されてないよね。脅されてるならお姉ちゃんが相談にのるよ。」

と父を完全に悪者としていた。先生、人のせいにするのは良くありません。


「脅されてないよ。ちゃんと自分の意志でやりたいってお願いしたんだよ。」


しかしレナは信じられないのか。(先生、生徒を信じてあげて。)


「ロレン、もっとお姉ちゃんに甘えていいんだよ。ロレンにならご飯だって食べさせてあげるし、何なら大きくなってもお姉ちゃんが一生お世話してあげフゴッッ!」


マッコリがレナの顎に向かって的確な角度に体当たり‼︎クリティカルヒット!レナは脳震盪を起こし気絶した。マッコリ超グッジョブ見事なファインプレーだ‼︎

そしてロレンの方を向くとレナの上でポンポンとジャンプした。どうやら運べと言っているらしく、さすがにほっとくのは可哀想だったのでロレンはファニの力も借りて姉をおんぶして洞窟の入り口手前までは持ってきた。


「ん、ロレンの匂い」


姉が起きたようなので姉を下ろそうとするががっしりと掴んで離れない。がマッコリが再び体当たりをかまし引き剥がしてくれた。


「もっとロレンを堪能したかった。」

この姉、6歳にして変態である。


「やめてよ。今朝十分堪能したでしょ。」

いや、ロレンそこじゃねえよ。


「やだ、いつまでも堪能したい。」

姉がいづれ弟を監禁しないか心配気味のマッコリ。マッコリお前だけは変わってくれるなよ。


洞窟を出るとお昼までにはあと30分くらいだったので家に帰ることにした。


家に着くと玄関にはビアンカ姉さんがいた。

「「ただいま。」」


「レナとロレンお帰り。ねえレナとロレンは一緒に遊んでいたの?」


「うんうん、僕は父さん所に行ってたよ。その次にレナ姉さんの所に行ったんだ。」


「そうなんだ。私のところに来ればに村の友達と遊べたのにのに。」


ビアンカは村の子供とある程度交流を持っており遊ぶ子も結構いる。対してレナは研究に没頭している方が良いと感じるので村の子達との交流はほとんど持っていない。ロレンはこの1ヶ月牧場の生活に慣れたりするので精一杯だったのでそもそも遊ぶという事を羊と千としかしてない為当然村の子達との交流はない。


すると父が帰ってきた。父はレナを見ると

「ただいま。おおーレナ、チーズの研究は進んでいるか?」


レナにチーズの研究が1番気になっているのは他でもない父である。理由は酒の肴が増えるからである。


「お帰り父さん、チーズの研究はチーズを発酵させる黴がスライムと似てることがわかったぐらい。」


「そうか。そういえば兄貴はスライムが黴の種族と同じ種族ではないかとか言ってたな。」

とロレンが聞きたがっていた話題があったので聞いて見ることにした。


「ねえ父さん、その叔父さんの話しって本当?」


「あー俺も詳しくは知らないが兄貴が言うにはスライムは元々菌類って種族から進化したらしいんだわ。黴もその一種ってことらしい。」

姉さんがその言葉に反応したのか。質問してきた。


「それが本当ならマッコリでもチーズを発酵させられる筈。」


それを妙案とばかりに父は

「じゃあ、今朝は牛乳から作ったチーズでまだ発酵させてないのがあるから別のところ、そうだな洞窟に今は使ってない物置部屋があるからそこを掃除してやるならマッコリで実験をやっても良いぞ。」


「じゃあ、ロレンのファニでも実験をやってみたい。後、脱脂乳でも実験したいから作ってくれる?」


「いいぞ。どうせロレンには訓練を施すし、ファニは暇だろうからな。後、脱脂乳のチーズは生クリームが今は腐りやすくて商品にはならないから今は作ってないから明日でいいなら作るからいいぞ。」

ファニも同意の丸を出し、レナも承諾した。


「わかった。レナ姉さんファニをよろしくね。」


「うん、任せて。ファニ明日から実験いっぱいしようね。」

ファニも丸印を出す

あともう少しで昼食なのでみんなでリビングに向かった。

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