閑話.お金は楽に稼げない。

「皆さんこんばんわー。ネットTV、スター発掘チャンネルのお時間です。この番組は、話題急上昇中のゲストをお呼びして何やかんやのお話を聞いてまいります。今回のゲストはぁ!謎の読者モデル、スティファニー・オルティスちゃんです!」


パーソナリティから呼び出しがかかったのでスタジオに入って指定の席に座る。

私は、地球での現金収入を得る為にギャラが良い番組の仕事を受けていた。


「こんばんわ~スティファニーです。年は永遠の17歳ですッ☆(ぎゅぴーん☆)」

「・・・・・・。」



・・・いきなりすべったぁ!



「えー、確かスティファニーちゃんが初めて雑誌に乗ったのが6年前だったよね?その時17歳って言ってたから…ぶっちゃけ今23歳ですよね?」

「ええとー本当は、109歳です。」

「・・・・・・。」



・・・あ、あれ~?



「1世紀以上前の10万飛んで○○歳みたいなギャグかと思ったんだけど、さすがに109歳は意味が分からないよスティファニーちゃん」

「・・・もう、23歳でいいです。」



「はい、サバ読みが発覚したところで更に突っ込んだ質問をしちゃうぜぇー」

「ぜぇー…ってまあ、いいですけど」


「この間トゥイッターにスティファニーちゃんのお忍びデート動画と画像が多数投稿された件だけど・・・あの男だれ?」


え、なに?急にマジなトーンになったね。


「えっとー、弟ですよ~。」

「っそーんなすぐばれる嘘ついちゃダメだよスティファニーちゃーん!弟っていうけど全然似てないよね?

 よーし、まず名前を言おうかぁ!絶対に怒らないから!彼氏を刺したりしないから!」


うわぁー大丈夫かな、この人?



「アル君は・・・アルヴィンって名前で似ていないのは、義理の弟だからだよ。」

「弟って言うことは苗字は、一緒なんですか!(ハァハァ)」


「うん?(苗字はないから)ただのアルヴィンだよ。」

「ほう、多田野アルヴィンさんですね?」


「そうだよ~」


スタジオのモニターに私がアル君の腕に抱き着いて水族館内を歩いている動画が映し出される。


うわっ!どこから撮ってたの!?


「あれれ~?ビクッてなったねスティファニーちゃん?やましい事があるのかな~?」

「いや、誰だって知らないうちに撮られた映像が出たらビックリすると思うけど?」


映像が切り替わってイルカショーの水で濡れ透けになった胸のズームアップ画像が・・・


「ちょっと!どこ撮っているんですか!」

「おっと失礼、間違ってコレクションフォルダを開いてしまいました。」


・・・後でPCごと燃やしてやる!


また映像が切り替わって、お寿司屋さんでガツガツお寿司を食べている動画になった。


「こんなに栄養つけちゃって、この後どこに行ったのかな~?正直に言おう!」

「聞き方がサイテーだよ!普通に姉弟きょうだいが、ご飯食べてるだけじゃない!」


普通だったら焼き肉屋さんに男女で行った時に言うやつでしょ!・・・うーん何か話の流れがおかしいな。


腕輪型デバイスの思念入力で検索すると、この番組って個人のチューチューバー(動画投稿者)がやってる番組だって!

スタジオも狭いしスタッフも2人しか居ないし、ネットTVだからこんなものかと思ってたんだけど・・・


すごく稼げるからってホイホイ仕事を受けたら変なのに引っかかっちゃったよ。



「食事の後、ラブホ街に直行しておいてそれは無いよスティファニーちゃん!(ハァハァ)」


あの裏路地、カラフルでキレイな街並みだと思ったらラブホ街だったんかーい!

誤解されるのは仕方ないけどそういう目で見られるのは気持ち悪い。


「・・・もう帰ります!」

「おっと、まだ【ヤッてみた】のコーナーが始まってもいないんだから帰れるわけないだろ?・・・オイ、お前ら押さえつけろ!」


何なの!そのアウトな響きがするコーナーは!?

2人のスタッフが私の両手をガッチリ掴んで逃げられないようにしてきた。


「やめて、放して!」


3人ともニタニタと笑って応じる気はないようだ。


「放してってば!」

「へぇ、放さなかったらどうなるんだ?教えてくれよ、ひゃはははは!」


抵抗できないと思って爆笑してるし・・・猶予をあげてるのはこっちなんだけどなー


「いい加減、放さないと酷い目に遭うよ?」

「ケヒヒーwやれるもんならやってみろよ?その前にヤッちゃうけどな!ははははは!」


パーソナリティの男がウィンウィン動くショッキングピンクの棒を私の股間に近づけてきたので反撃することにした。


まず両腕に〈サンダーピック〉を発動させて2人のスタッフを気絶させる。



ピンクの棒を蹴り上げてパーソナリティの腹を掌底で殴ったら落下してきた棒をキャッチする。


腹を押さえて悶絶しているパーソナリティの尻が突き出されているので、ズボンを突き破って棒をブチ込んでやった。



「ぎぃやぁあああああああああああああ!!!!!」



ばっちいから手を3回ほど浄化しておく。もうキレイになったんだけど後で石鹸でしっかり洗っておこっと

キッチリPCを壊してから警察に通報してスタジオを後にした。


あーあ、焦って稼ごうと思ったら結局ノーギャラになっちゃった。


実入りの良い仕事なんてろくなモノが無いね。

まさか【うまい話には裏がある】のテンプレをやらかすとは思わなかったよ。



可愛いピンクの電動バイクが欲しかったんだけどなー

焦っても仕方ないしコツコツ稼ぐことにしよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る