3-1章 アールストの日常 10年目
1.アルヴィンの成長 12歳編
朝を告げる鳥の声で目が覚める。
私は、スティファニー・オルティス…エルフの女の子です。アールストに住んでから9年が経ちました。
現在109歳です。
寝ぼけ
頭頂部にピョコンと立った毛があるけど生まれつきのもので何度
う~んと伸びをするとパジャマの胸元のボタンがミシミシと悲鳴を上げる。
「むー、また少し大きくなったかな?」
当時は推定Eカップだと思っていたけど実際はGカップはあったようで今はHカップに差し掛かっている感じだ。
これ以上大きくなるのは勘弁して欲しいところだよ。
パイエルフという意味不明な種族のせいで母乳が出るようになったんだけど今のところは、生理の時に搾るぐらいなので不自由はしていない。
危なすぎて下水に流すこともできないんだよ、もうっ!
そうそうアル君は、12歳になったよ(バレてないけどアル君の方がもう年上なんだよね。)
最近アル君の顔が凛々しくなってきている。
燃える様な真っ赤な髪はカッコいいし目元はキリッとしているし線が細いけどしっかりと鍛えられて筋肉もあるし
あと数年もすればかなりのイケメンになるだろうね。
女の子にモテモテになる感じだよ。
・・・まあ、私の好みじゃないんだけど。
私は、ガチムチの筋肉と賢さを兼ね備えた男性が好きなんだよ。まあ私の好みは置いておくとして…
ベッドはアル君が8歳の時に別々にしている、同室は限界ギリギリまで引き延ばしたんだけれどつい先日、アル君が精通して夢精したので終了になったよ。
徐々に視線に性的なものが混じり始めて日に日に強くなってきている感じがするし、夢精したのもうっかり着替えを見られちゃった日の晩のことだったし
アル君もこれからは、定期的に発散しないといけない。
同室ではやりにくいでしょうし最中に入室してしまう事故が起きるかもしれない。
私も前世でやらかして苦い経験があるし、できればそういう思いはさせたくないからね。
コンコンとアル君の部屋をノックする。
「アル君起きてるー?」
「う、うん、いま行くから!先に食堂に行っててよティファ姉ちゃん」
私のエルフイヤーには、浄化の魔法を小声で連呼するのが聞こえてきた。
・・・何かをゴソゴソやっていたみたいだけど何も言うまい。
食堂で一緒に朝食を食べてから孤児院へ向かう。
「おはよ~みんな~」
アル君にべったりのパリスちゃん(12歳)と天才魔法使いのケーラちゃん(16歳)&その姉のセーラちゃん(17歳)が居たので挨拶をした。
ケーラちゃんとセーラちゃんはもう成人しているので孤児院を出ている。毎日妹のシーラちゃん(14歳)を預けにきている。
私もアル君を預けてケーラちゃんとセーラちゃんを引き連れてギルドへ向かう。
道すがら孤児院出身の子達と合流してギルドに入った。
何とギルド員の若年層ほとんどが孤児院出身者が占めている。
私が片手間に教育していたら読み書き計算などの教養が一般レベルを飛び抜けて優秀になっていた。
本来なら裕福な家庭でそれなりの教育を受けてきた人達が就職する所なので、ある意味異常な状態と言えるね。
しかも、全員が下手な冒険者より強くて最低でもBランク相当の実力者だったりする。
「「「「おはようございますティファ先輩!」」」」
「おはよ~、今日も一日頑張ろうね♪」
私も、パートタイマーながらリーダー的な存在になっていた。小さい頃から皆のこと知ってるからね。
エミリー先輩は完全に家庭に入ったので去年辞めたけど、セリーナさんはギルド長の秘書として辣腕を振るっているよ。
さあ!アールスト冒険者ギルド営業開始だよ!
「「「いらっしゃいませ、アールスト冒険者ギルドへ♪」」」
◆◇◆◇
冒険者達に混じって見知った顔が現れた。先ほど別れたばかりのアル君とパリスちゃんだ。
「こちらの受付をお願いしますわティファお姉さま。」
「ふむふむ?オークキング討伐難易度Aか~大丈夫そうだね。頑張ってねパリスちゃん。アル君、しっかりとパリスちゃんを守るんだよ?」
「わ、分かってる。パリスには怪我一つさせないよ。」
アル君とパリスちゃんは、2年前に冒険者登録をして既に
12歳という年齢からすると驚異的なことだけど本来の実力は、アル君がSランク相当でパリスちゃんがAランク相当あり評価が追い付いてないという現状だった。
他の孤児院出身者も幾人か冒険者になっているけど似たような年齢でC~Bランクで活動しているのでアル君達が悪目立ちすることもない。
「気を付けてね~」
とアル君達を送り出す。
ん?冒険者活動をして独り立ちしているのに孤児院に預けている意味があるかだって?
いやー、それがあるんだよ。
冒険者活動は、あくまで遊びの範疇なんだよねー、時間がかかるものや無茶な依頼は受けさせていない。いくら強いって言ってもまだ未成年だからね。
お昼ご飯は、必ず孤児院でみんな揃って食べるし午後は、基本的に孤児院周辺で過ごしているんだよ。
さーて、私もお仕事に集中しないと
◆◇◆◇
Side:アルヴィン
オレは、アルヴィン12歳だ。
先日、ティファ姉ちゃんに夢精をしたところを見られた・・・死にたい。
初めのうちは気にしていなかったけど孤児院の兄貴分達から聞いた話だと、とても恥ずかしい事で女性に見られるのは特に最悪な事だと言われたんだ・・・
うわぁあああ!!!あの日のティファ姉ちゃんの生暖かい視線を思い出すと体が雑巾みたいに捻じれる!
落ち着くために、アイテムボックスから
ふぅ・・・
色々と発散して落ち着いたところでノックの音が聞こえた。
ビクッ!
「アル君起きてるー?」
「う、うん、いま行くから!先に食堂に行っててよティファ姉ちゃん」
こんな状態では、扉を開けることすらできないので先に食堂へ向かってもらうことにした。
何やかんやを浄化してから部屋を出た。
孤児院へ向かっている途中、たゆんたゆんと揺れるティファ姉ちゃんの胸から目が離せない。
ああ、昔に戻りたいな・・・
孤児院に着いたらまず、幼馴染であるパリスからの説教から始まる。
やれ、胸を見すぎだの距離が近いだのとうるさい。
血はつながってないけどティファ姉ちゃんとは、
パリスには、昔からベタベタくっつかれているけど異性としての意識はない。貧乳だし。
「いま、変なこと考えてたでしょ!分かるんだからね!」
「ひぃ!ご、ごめん!」
バシバシ叩いてくる手は全然痛くないけど、何故か心は縮み上がって逆らうことができない。
「お、またやってるぜ熱いねー」
「朝からイチャイチャしやがって羨ましい!」
こんな感じで周りの皆からは、恋人か夫婦みたいに扱われているけどオレが好きなのはティファ姉ちゃんなんだ!
「アル、魔物討伐に行くわよ!」
「ええー?オレは、自分の修行したい・・・何でもありませんお供させてください!」
キッと睨まれてオレの心は、簡単に折れてしまった。
ガッと首根っこを掴まれて引きずられたまま冒険者ギルドへ連行される
「(やっぱりあの
何か、とんでもなく恐い事をブツブツ言ってるー!?
パリスは、ギルドに着いたら早速とばかりに討伐依頼を漁って修業に丁度いいオークキングの討伐を選んできた。
ティファ姉ちゃんの窓口で受け付けを済ませる。
「―――アル君、しっかりとパリスちゃんを守るんだよ?」
パリスなら放っておいても怪我なんてしやしないよ、と思ってたら横から
「わ、分かってる。パリスには怪我一つさせないよ。」
・
・
・
オークキングは、探知であっさり見つけることができた。
しかし、パリスの練習台には弱すぎて手加減していたのに5分ほどで息絶えてしまった。
仕方がないのでオレが、スパーリングの相手をしている最中だ。
実力差があるから魔法も剣も全て受けきってるけどパリスの攻撃は実戦さながら殺す気満々の遠慮のないものだ
オレの事本当に好きなんだろうか?
女ってよく分からない。
一番長く一緒に過ごしているティファ姉ちゃんの事すら理解しきれてないもんな
◆◇◆◇
ギルドの勤務が終わったので孤児院へお昼ご飯を食べに行く。
アル君も大分大きくなってきたので必要ないのかもしれないけど余程の事が無ければ一緒に食事を取るようにしている。
何時まで一緒に居られるか分からないけど成人する15歳辺りまでじゃないかと思っている。
あと3年と思うと短いと感じてしまう。
「ティファお姉さま、少しアルにくっつきすぎじゃありませんか?」
「え?そうかな~?」
言われてみれば確かに頬っぺたがくっつきそうなほど近いしお互い横を向いたらキスをしてしまいそうだ。
あれ?もしかして・・・身長負けてる?
私の目線がアル君の目よりやや下にある気がする・・・。いかん、姉としての威厳が!
「アル君立って!」
「え?急にどうしたの?」
「いいから早く立つ!」
身長を比べるために真正面に向き合って体を密着させると・・・なんてこったい!2cmぐらい負けてる!
あ、頭のアンテナを入れたらまだ私の方が2cmぐらい勝ってるし!悔しくないもん!
「てぃ、ティファねぇちゃん、はぁはぁ」
「ん?どしたのアル君?」
「何を盛ってるんですの年増乳女!」
スパーン!とパリスちゃんからのツッコミが私の頭にクリーンヒットする。
「むー、身長測ってただけなのに~。それにパリスちゃん、年増って言ったけど私はエルフだから
「なら12歳の私の方が姉ですわね?これからは、パリスお姉様と呼んぶのよティファちゃん!」
「ぐぬぬ・・・」
やらかしたー!歳を抜かれたのを自分でバラしちゃったよ!
「ほら、どうしたのティファちゃん?パリスお姉様よ?」
「ぅぅ・・・ぱ、パリスお姉ちゃん」
「…はぅ♡ふふ、良い子ねティファちゃん。これでどっちが上か分かったわね?」
「むー」
言ってることは正しいような気がしなくもないけど、釈然としないな~
小っちゃい頃から知ってるだけに抜かれたというダメージがデカい
「今後、恋人の私を差し置いてアルを誘惑しないように!分かったわねティファちゃん?」
「んん?別にいいよ?アル君の恋路を邪魔する気はないし」
「え?あれ?ティファちゃんアルの事好きじゃないの?」
「んー?家族として好きだけど…それがどうしたのパリスお姉ちゃん?」
「アルを恋愛対象に見てたりは?」
「しないよ~?もっとムッキムキのガッチリした人が好きだし」
「うわぁああああああ!!!」
あれ?アル君が叫び声をあげて走り去ってしまった・・・
「・・・天然って恐ろしいわね。」
「???」
◆◇◆◇
「アルくーん夕食だよー?」
「はぁ、はぁ、・・・いらない。」
何かドア越しだけどすごく息が荒い。一心不乱に筋トレしてるみたい。
「アル君、筋トレしてるなら正しい生活と栄養を取らないと逆効果だよ?肉を食べない人に筋肉は微笑まないんだよ?」
「肉!食べる!」
ガチャーンとドアを開けて出てきたアル君は汗まみれだったので浄化してあげた。
アル君はバカみたいに肉を食べて筋トレに励んだ。
翌日、またアル君の様子がおかしい。
「ティファ姉ちゃん、オレ…しばらくスギルさんの所に行って鍛えてくる」
「え?急にどうしたの?」
「聞かないでくれ!男にはやらなくちゃいけないことがあるんだ!」
「スギルとはいえ迷惑にならないようにするんだよー!」
・・・1ヶ月後
「ごっつぁーんでぇす。」
「・・・えっと?どちら様ですか?」
私の目の前に謎のスモウレスラーが現れた。
かなりのガタイにもっちっとした肌、内包された筋肉と脂肪に纏っている闘気と魔力・・・この人まあまあ強いね!
「ティファ姉ちゃん、オレだよ。」
「んーーー???」
よーく見るとこの燃える様な真っ赤な髪は・・・アル君!?
「ど、どうしたのアル君!こんなになっちゃって!」
「どうだい?オレ、ムッキムキでガッチリになったよ!」
いやー、どっちかっていうとムッチムチのモッチリって感じだね・・・
「アル君、ちょっと食べすぎじゃない?太ってるのが悪いとは言わないけど自己管理ができない人って、私…キライだな」
「う、うわああああああ!!!」
ドスドスドスと足音を鳴らしてアル君は何処かに行ってしまった。
翌日、スギルからアル君をまた鍛え直すって念話連絡がきた。
・・・1ヶ月後
「ただいま、ティファ姉ちゃん」
「お帰りアル君。久しぶり~・・・むっ!」
すっかり元の姿に戻ったアル君が帰ってきたけど・・・
「アル君、そのまま動かないでね。」
真正面から体を密着させる。
「てぃ、ティファ姉ちゃん何を?」
「あーやっぱり!背が伸びてるー!」
頭のアンテナまで入れても完全に抜かれてるよ!
くッ、認めてあげるよ。立派に成長したねアル君!
この後、アル君はパリスお姉ちゃんに無断で2ヶ月も不在にしてたのでボッコボコにされました。
あとがき
スギル「俺はちゃんとリクエスト通りに鍛えたんだぞ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます