閑話、ワシは何もしていない!
自警団員のクラリッサよ。
今日は、闇の日でオフだけれど体が鈍らないように修練所に行くわ。
修練所に着くと普段見かけない老年の男性がシュッシュと素振りをしている。
凄まじく速くて美しい剣筋だわ。きっと名のある剣士に違いない。
剣の振り方を参考にさせてもらい軽く素振りをしてから型の練習に入る。
老剣士も型に移り時折、
すごい!人類が到達しうる限界を超えるような素晴らしい剣だわ!
整理体操ぐらいの気持ちで修練所に来たけれどとても良いものが見れた。
元々長時間居るつもりは無かったので私は、修練所を後にした。
・・・あれは!?
前方から歩いてくる二人組を見て私は固まる。
赤い髪の男の子とぽやぽや顔の美少女!・・・3年前の下らない
「アル君、どれくらい剣の腕前があがったか見てあげるよ」
「今日こそ、ティファお姉ちゃんをびっくりさせてあげるよ!」
何?あのヒラヒラの服でこれから修練所に行くの?確かあそこは更衣室も無いただの広場なのに?
・・・時間はあるので覗いてみようかしら?
修練所に着いた二人は準備運動も無しに模擬戦闘に移る。
男の子が凄まじい速度でぽや顔の少女に猛攻をかけているのだが、ぽやぽやした表情と体勢を崩さず左手だけで受け流している。
しかも一歩も動いてない!?
ウソ!?あんな小さい男の子が
どうなってるのよ!?
あ、老剣士がぽや顔少女に挑むみたいね。
老剣士が斬りかかる。速い!?距離が離れているのに目で追いきれないなんて!?
もっと恐いのは、ぽや顔少女がスカートの裾すら揺らさずに右手一本でそれを全て受け切っていることだ。
すごい!〈百刃斬り〉とか初めて見た!・・・あっさり防がれたけど。
老剣士が何かを要求してるわね?
少女が2本剣を構えて聞いたことのない技を使おうとしたようだけれど・・・
老剣士が急に気持ち悪い顔と動きをして近づいたので少女達は、怯えて逃げ出してしまった。
追いすがろうとする老剣士は、先ほどまでの凛とした佇まいは欠片も無く何処から見てもりっぱな変質者にしか見えなかったので捕まえて勤務中の同僚に引き渡しておいた。
何かイカ臭いわね。
「ワシは、何もしていない!無実じゃー!」
「あーはいはいはいはい、犯罪者はね皆そういうんだよ。」
同僚はダルそうに対応している。
・・・明日は仕事だし、帰ろっと。
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