9.闇の日のお出かけ。アル君6歳編

おはようございます。スティファニー・オルティスです。

今日は、7月25日闇の日。月末のお休みの日だよ。


さあ、目を覚まして着がえよう。

さてさてと・・・パンツは…替えよう〈浄化〉ピュリファイケーションはしてあるけれど気分的にアレなんで新しくパンダさんがプリントされたパンツに穿き替える。

うん、安心のモコモコ感。しっかり穿いてるって感じがする。

ブラ良し、タイツ良し、ブラウス・スカート良し!

鏡で髪をしっかり整える。・・・相変わらずぴょこんと跳ねた毛だけは、頑固だった。

リボンを着けて超絶美少女完成~!

・・・もう少し大きめの鏡が欲しいかな。

見ながら(ゴニョゴニョ)すると気持ち良いんだけど、この鏡だと小さいんだよね。


「さあ、アル君〈起床〉ゲットアップ♪」

「うぅん?・・・おはようティファお姉ちゃん。」

「ご飯を食べたらお出かけしようね♪」

「分かった、すぐ着がえるね。」


食堂に顔を出すとキャンディスが居た。

サーシャさんウィルさんは、家を借りたのでもう宿を出ているから居ない。


「おはようキャンディス、今日はお休みなの?」

「おはようキャンディスお姉さん」

「おはようスティファニーにアル君、今日はゆっくり休むわ。スティファニーから教えてもらった〈豚殺し〉オルクボルグでオーク狩りが順調だから週に2日休んでも良いぐらい余裕があるわよ」

「ふふふ、順調にレベルアップしているみたいね武技アーツの師匠として鼻が高いわ♪」

私は、ドヤ顔で胸を張る。


「あら、やっぱりスティファニーだったのね?」

「え?」

「私の武技の師匠は、全身鎧のエドさんのはずよね?」

「しまったぁあああああああああ!!!!」

鎧姿で武技を教えてたんだったよ!ハメられた!

アル君が、また何かやらかしたのかと言う顔で私を見ている。


「考えてる時の仕草がスティファニーそのものだったし、恥ずかしい鎧のサイズもヒントだったわ。胸だけ無駄に大きくて他の体形で同じぐらいな人は貴女だけよ?」

ナンテコッタイ!


「鎧に残っていた匂いがスティファニーの匂いそのものだったし」

「ゆ、ゆるしてくだしゃぁ・・・」


「別に怒ってないわよ、薄々分かってたし命も助けてくれたんだから文句なんてないわ。確かに意地は悪かったけどね。」

「・・・御免なさい。ちょっと調子に乗ってた。」

「いいってば、この話はこれまで。さあ、朝ご飯食べよ?」

「うん、ありがと…」

アル君、生暖かい目はヤメて!

さて、色々あったけど街に繰り出そう!

孤児院には昨日欠席を伝えてあるのでそのまま商店街に向かう。

食料品店を横目に見て雑貨屋に入った。


やる気なさそうな青年店員が怠い声で「いらっしゃいませ~」と挨拶をしている。


「鏡、大きい鏡はと・・・あった!」

縦40cm、横30cmぐらいの四角い鏡だ・・・値段は、30万!?高ッ!でも買っちゃう♪

これがあれば色々と捗るしね♡


「アル君も欲しいものがあったら遠慮しないでね、お金はいっぱいあるんだから!」

「ありがと、ティファお姉ちゃん!」

それぞれ欲しい物を探して物色する。何か珍しい物でもないかな?奥の方に行ってみよう


「――ッ!?」

ん?オジサンが何かの商品を真剣に見ていたけど、私が来たら慌てて商品を戻し何処かに行ってしまった。

これは?どぎついピンク色の棒みたいなのだけど?ラ○トセ○バーかな?あっ、スイッチがある。

カチッ、・・・ブウゥゥゥゥン!


お?おお!心地よい振動が!?

これは、電動マッサージ器!・・・いや、魔動マッサージ器だね!

何てこと!このコーナーの商品は大人のアレだったの!?

用途が分からないものが多いけど!宝の山じゃない!

誰も見てないね?・・・キョロキョロ周りを見渡してからそっと2つ買い物カゴに入れる。

アル君も買いたい物を選んで持ってきたのでお会計に行く。


「あーすみません。コレなんですがね…」

魔動マッサージ器をつかんでフリフリと強調する店員。こら!アル君が見てるでしょーが!


「な、なんですか?」

「年齢確認が必要なアレなんで身分証見せてもらってもいいっすか?」

まさかと思いつつ身分証を見せると。


「あー、ダメっすね。未成年には、お売りできないアレなんで回収させて頂きます。」

マーぁ!!

ちくしょーめ!玩具すら買えないのか私は!

あ・・・玩具じゃないマッサージ器だよ!こ、言葉のあやだヨ!


非常に口惜しいけれど、魔動マッサージ器を諦めることにした。




お昼になったので行きつけのレストランに行く。

「いらっしゃいませー2名様ご案内です。」


席についてメニューを見る。

全メニュー私が描いた絵がついているから、どんな料理なのかが一目瞭然で分かる。

うん、足しげく通い続けたかいがあるね。


「んー今日は、基本に戻ってお子様ランチかな~?」

「ボクは、ハンバーグランチがいい!」


やっぱりこの店の料理は美味しい♡


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまー」

「是非またお越しくださいね。スティファニーさん。」




食後は、腹ごなしに公園でお散歩

何気ない風景を見ながらゆっくりと歩くのは、とても贅沢な時間だ。


歩き疲れたら飲み物を買ってベンチに座って休憩をする。

「ふぅ…流石に日差しがきつくなってきたねー。」

「アツいけどボクは、夏ってたのしいからきらいじゃないよ」


そうなんだ?今世は魔法があるから気にならないけど前世では夏は嫌いだったなー

夏のどんなところが好きなのかと聞こうと思ったらアル君が私に寄りかかったまま眠っていた。


「アル君は、まだまだ子供だね…」

膝枕をしてあげて私も少し体を休めることにした。



スリスリ・・・スリスリ・・・


しばらく経った頃にアル君がひたすら私の太股を撫で始めた・・・脚フェチになったの?

分からなくもないね。私もちょっと引き締まった感じの女の子の脚とか大好きだし


撫でられるがままにしていたらトライアングルゾーンに顔を突っ込んでフンフンし始めたよ、アル君アウト―!

「こら、女の子のここは嗅いじゃだめだよ」

「ごめんなさい(フンスフンス)」

微妙に反省してないね?・・・あれ?もしかして私に似てきた?


屋台でタコ焼きっぽいものを買って食べる。これは、甘いお菓子でしょっぱくないしタコも入ってない。

一口ドーナツって感じかな?


「不思議な感じだけど美味しいね」

「うん、食べやすくてすごくおいしいよ」


食べ歩きながら商店街の方に歩いていく

途中でカリーナの店にちょっと寄ろうかなと思ったけどアル君が嫌がるのでやめることにした。


あ、そう言えば先週に剣術教室をお休みしちゃったからちょっとだけ街の修練所によってアル君の剣の腕前でも見ようか?

アル君も了承してくれたので修練所に向かう。


見慣れないお爺さんがシュッシュとまあまあの剣筋で素振りをしている以外は誰も居ない。

まあ闇の日だしね。


「さあ、アル君かかっておいで!私に二本目の剣を抜かせてみなよ!」

「全力でいくよ、ティファお姉ちゃん!」

互いにアイテムボックスから武器を取り出す。


私は、左手にミドルソード型の木剣。アル君は、両手にミドルソード木剣を構える。

あ、今更だけどミドルソードは、ダガーとショートソードの中間の長さだね。

大体45~55cmぐらいで半端な長さの剣だけど使い勝手がすごく良いんだよ。

因みにショートソード60~80cm、ロングソード80~100cmって感じ


アル君が双剣で風の様に鋭い連撃を叩き込んでくるけれど私は、軽々と片手でいなした。

〈ソードバッシュ〉でノックバックさせているので私は、その場を一歩たりとも動かずただ左手のみでアル君の猛攻を受けきる。


「ふふふ、そんなものかな?」

「くッ、これなら!」

ブワリとアル君の体から闘気があふれる。まだまだ収束は甘いけれど、この短期間で闘気を会得したの!?


「―――〈トリプルスラッシュ〉!」

ガ!っとタイムラグ無しの3つの斬撃が私に迫る。

けれど私もノータイムで〈トリプルスラッシュ〉を放って相殺する。


「だめかー!」

「びっくりしたよー教えてもいない〈トリプルスラッシュ〉を使うなんて焦ったよ~」

アル君は剣の方が才能あるんだね。

「アル君は天才だね~」

よしよしと頭を撫でてあげる。



「もし、そこのお嬢さん」

ん?素振りしていたお爺さんが話しかけてきた。


「はい、何ですか?」

「良かったらワシと手合わせを願えんかの?」

ふ~ん?ギルド長よりかなり強そうだね。


「疲れるのは嫌なので1回だけならお受けします。」

「ほほ、ありがたい。では宜しく頼む。」


互いに位置に着き剣を構える。私は、剣を右手に持ち変えている。左手じゃ手こずりそうな気がするしね。

ざわっと風が吹いた瞬間に、お爺さんが斬り込んできた!


まあまあ早いね、斬撃をすべてふわりと無効化して〈ソードバッシュ〉でお爺さんを後ろへ弾き飛ばす。

「やるのぉ、これならどうじゃ〈百刃斬り〉!」

武技アーツ鸚鵡おうむ返し〉」

はい、相殺っと。行き成り百連撃とかまあまあすごいお爺ちゃんだね。


「何と!ワシの剣が全て防がれるとは!?しかも一歩も動いておらぬ…」

「まあまあの斬撃でしたよ?」


「くっ、このワシが赤子扱いとは!悔しいが負けじゃ・・・だがお願いじゃ1度全力でお嬢さんの技をワシに使ってもらえんかの?」

「え゛?ドMなんですか?」

「違うわい!純粋に技を食らってみたいだけじゃ!」

「じゃ、ダメージを与えないようにします。危ないから動かないでくださいね。」


アイテムボックスからもう一本木剣を取り出して構える。


「行きますよ。三重武技トリプルアーツ〈二千刃・肩叩き〉!」

〈千刃斬り〉×2+〈肩叩き〉の双剣だから4000連撃のマッサージだよ!


ドッドドドドドドドドドドドドドド・・・


「ああ゛~ぎも゛じい゛い゛~・・・あっ…ウッ!」

「ありがとうな、お嬢さん世界が変わったよ。ワシもまだまだじゃったわハハハハ!」

「・・・わかりましたから、あの…近寄らないでください。握手もしませんから。」

何とも晴れやかな顔で前屈みになって内股で奇妙な歩き方をして握手を求めてくるイカ臭いジジイを避ける。

やっぱりドMだったじゃないの!


「じゃ、私達は帰りますんで!」

「ま、待って下され!」

身の危険を感じたのでアル君を小脇に抱えてダッシュで立ち去る。

イカジジイは、うまく走れないようなのですぐにまくことができた。



「とんでもない変態だったよ~」

「そうだったの?」

「アル君は、ああいう大人になっちゃダメだよ」

「(よく分からないけど)分かったよティファお姉ちゃん。」




◆◇◆◇




宿に戻ったら夕食を食べて温泉に入る。


「なんかね~街の修練場で変態のジジイがでたからキャンディスも気を付けてね」

「そうなの?気持ち悪いわねー。今アールストに剣聖様が来てるらしいから、そのジジイを聖剣で叩き斬ってくれるかもしれないわ」

「剣聖様?」

「剣の腕もすごいけど、すごく正義感にあふれていて悪は許さない方なんだって聞いたわよ」

「へー、立派な人なんだねー」


部屋に戻ったら就寝だね。今日は普通に寝よう。

「アル君、今日は成長ぶりにビックリしたよ。でも焦らなくて良いからね。ゆっくり大人になろ?」

「・・・うん。」


もぞもぞと胸に顔を埋めてくる。ふふ、相変わらずだね。

明日も早いからもう寝よう。


おやすみなさい。



翌週、剣聖さんが一身上の都合で引退して代替わりしたそうです。

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