8.魔法レッスン、二重魔法とは?

今日は、7月22日水の日

ギルドの勤務が終わって孤児院でお昼休憩が終わった後、気が向いたので魔法のレッスンをしております。

何か、スギルが羨ましそうにこちらを覗き込んでいる。どーせ魔力ゼロなんだし、魔法なんて使えないしスルメをあげるからしゃぶっててもらえませんかね?


子供達の魔法の腕前は、Dランク冒険者並のレベルになってるよ。

うん、おかしいね。え?何か前にも聞いたって?

ゴブリンやオーク程度なら遠距離からコロコロしちゃうよ~

例によってアル君と一緒に育てていたら、こうなっちゃいました。やっぱり弱いよりは良いよね?


「ふふ・・・皆には、もう教えることは何も無いわ」

「「「「ええーーー!!!二重魔法ダブルマジック教えてよー!!!」」」

「う~ん、二重ダブルか~」

「お、俺も聞いていいかな?」

二重魔法と聞いてスギルまで寄ってきた。


「聞いたって魔力ゼロなんだから無駄でしょ?」

「いいじゃん!無駄でも聞かせてくれよ!!」

スルメを口に含んだまま叫ばないで欲しいなー。


「えーまず、二重魔法は大体の人が使えないよ。複数の属性をかけ合わせる複合魔法に似ているけど全くの別物ね。更に言うと、魔法を連発するだけの連続魔法とも違うの。」

皆はよく分からんって感じの顔をしている。


「二重魔法は、通常では掛け合わせ不可能な魔法やスキルをかけ合わせて魔法に特殊効果を持たせる超高等技術よ。(ドヤッ)」

スギルがスルメをチャプチャプとしゃぶる音のせいで今一締まらない。


「こほん・・・二重魔法を使うにはまず、ピック系の魔法が使えなければならないの。」

「ねー、なんでピック系は、最弱魔法なのにティファお姉ちゃんしか使えないの?」


「良い質問ね、実はピック系の魔法は正確には魔法じゃありません。」

「「「「な、なんだってー!」」」」


「普通の魔法は、魔力を使って一定の現象を引き起こすものなの。一方ピック系は全部自分で制御して現象を再現しなくちゃいけないの。」

子供達は今一分からないのか首をかしげている。


「分かり易く言うと、普通の魔法は出来合いの料理ね。魔力=お金を払えば調理済みの物が出てくるのよ。例えば〈ファイヤーボルト〉を使おうと思って魔力を込めれば〈ファイヤーボルト〉が撃てるよね?」

ここまではついてきてるね。


「ピック系は、やっぱり魔力を使うけど料理で言えば自分で調理して食べれる様にする必要があるの。ここが普通の人じゃ難しい点ね。」

オートかマニュアルかの違いだね。

普通はオートなのにマニュアルでやれって言っても何をどうしたら良いのか分からないから無理だよね~。


「ティファお姉ちゃん!もしかして、これをミューンってやってムニャーンってやればいいの?」

「あ!そうそう!よく分かるねケーラちゃん!ムニャーンのところでもうちょっとモニョーンってやるといいよ~」

カルタで毎回優勝しているケーラちゃん(10歳)が意外な才能を見せた!

「わかったモニョーン!」


「何言ってるか全然わからねぇ・・・」

スギルはともかく他の子達もついて来れないみたい。


「ハッとしてグッときてパッと制御する感じだから、フッとした瞬間に覚えられるかもしれないよ?」

皆は、ますます混乱してしまった。何で!すごく分かりやすいのに!


「あ、できた!〈サンダーピック〉!」

「ぎゃぁあああ!!!・・・何で俺に向かって撃つんだよ!」

「うーん?イカ臭いから?」

「ぐおぉぉ!少女の正直な言葉が痛い!」


「ケーラちゃん良くできました。とはいえ、二重魔法を使うにはまだまだ練習が必要だからね。他の皆もまずピック系を使えるようにしよう!」

この後、たくさん練習したけれどケーラちゃん以外はピック系の習得はできなかった。

アル君(一番弟子)は、プライドが傷ついて体育座りしちゃってるし・・・

私だって80年ぐらいかかっているんだから、ゆっくりやればいいよ。


魔力値やMPを増加させて修業効率を上げるのも良いかもしれないね。あ・・・




◆◇◆◇




Side:スギル


先ほどスティファニーから孤児院の裏に呼び出された。

顔を真っ赤にしてもじもじしていたんだが何かあったか?


もごもご、ちゅぱちゅぱ

「あー、スルメうめぇ・・・」

「スギル、お待たせ…」

やっぱり顔真っ赤で恥ずかしそうにもじもじしている・・・もしや、デレ期がきたか!?


「いや、そんなに待ってねーぜ態々呼び出すって何かあったのか?」

「えっとね、その・・・何も言わずにこれを受けっとって欲しいの」

渡された小箱を開けると指輪が2個入っていた。

あれー?これはぁー!?逆プロポーズ!!マジかー!

思わずゴクリとスルメを飲み込む。


「―――くの指輪なの。大切にしてね。」

え?なに?舞い上がっちまって聞いてなかった、婚約の指輪?


「分かった、俺も男だ婚約受けてやるぜ!さぁ!誓いのキッスを!」

パーン! 痛い!


「アホかー!何聞いてたの?魔力の指輪だって言ったでしょ!」

「え?」

「これがあれば魔力ゼロのスギルでも魔法が使えるようになると思って持ってきてあげたのに!」

「だってあんなに恥ずかしそうに指輪渡されたらプロポーズされたと思うじゃん!」

だって考えてみろよ!美少女がもじもじしながら指輪のプレゼントだぞ?勘違いするなって方が難しいだろ!


「え?あっ!ああ・・・確かに分からなくもないね。でもちゃんと話を聞いてないスギルも悪いよ?」

「じゃあ何で顔が赤かったんだよ?」


「魔力の指輪のことをすっかり忘れてたから恥ずかしかっただけよ。」

「紛らわしいわッ!」

チクショー!デレじゃなかったのかー!

でもこの指輪で俺も魔法が使えるようになる!もう周りの連中に『弱スギル』とか言わせねぇぜ!


「私も少し悪かったと思うけど頭の中がエロエロだからそうなるのよ?まあいいわ、しばらくは平日の午後に魔法を教えてあげるから暇だったら此処にきてね」

「ありがとな、色々と気を遣ってくれて。指輪も俺にくれる必要も無いのに用意してくれてさ」

「何よ?急に」

「この前のカレーも久々に食べれて嬉しかった、依頼があるから俺は行くぜ…またな!」


返事も待たず俺は孤児院を立ち去る、依頼とか格好をつけたけれど内容が清掃活動じゃ締まらないしな。

スティファニーには本当に感謝している、ゴブリンから助けられて怪我を治してもらった時だけじゃなく間接的に何度も命を救われている。


まだまだ弱いから甘えさせてもらうしかないけれど何時かは恩を返せるようになろう。

折角なので貰った指輪をはめると感じたことのない何かしらの力が溢れてくる。これが魔力ってやつか!

ゆっくりでもいい、まずは討伐依頼をこなせるように強くなるんだ!

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