閑話、謎の斬撃
闇の日、穏やかな休日の午後に『辻斬り』は突如として現れた。
「ぐぁああ!」
突然の叫びと共に、二人組の男の片割れが前のめりに崩れ落ちた。
「ジャン!どうしたんだ!何が・・・血が!?」
「ぐッ、すまねぇやられちまった。凄まじい斬撃だ。」
「斬撃?一体どこから?剣が届くような距離に誰も居ないぞ?・・・新手のスキル使いか?」
「そんなちゃちなもんじゃねぇ!油断するとピエール、お前でもやられるぞ!」
「馬鹿言うな、俺の剣の腕前を忘れたのか?」
ピエールは、最大限の警戒をして辺りを見廻す。
だが、それがいけなかった。
「ぐぬぁああ!」
遠距離からの斬撃を受けてピエールから血が噴き出す。
「ピエール!だから油断するなって言っただろが!」
「すまねぇ、ジャン・・・俺はもう駄目かもしれん。」
これが、『辻斬り』の幕開けだった。
◆◇◆◇
「被害者は、主に成人男性・・・『斬撃』を受けて血を流しているけれど外傷は無し。・・・か、よく分からないわね。」
自警団員である女性が、独り言を呟く。
事件の始まりから僅か2時間ほど、休日の昼過ぎという明るい中での犯行にも関わらず被害は拡大に拡大をしている。
彼女なりの情報をまとめると・・・
①証言者が何を言っているのか分からない。(『斬撃』なのに外傷なしのため。)
②何をされたのか分からない。(そもそも『斬撃』とは一体?)
③超スピードで斬られたわけではない。 (加害者とは、一切接触していない。)
④被害者が被害届を出そうとしない。 (事件は、噂で聞いただけ。)
彼女も、頭がどうにかなりそうだった。何か恐ろしいものの片鱗を味わっている気がした。
「がぁああ!!!」
10mほど離れた場所に居た男性が突然苦しみだした。
彼女は、矢のように飛び出して男性に駆け寄る。
「大丈夫ですか!一体何が!?」
顔を押さえて前のめりに
彼の手は、ベッタリと血に濡れていた。
「い、いや何でもないんだ気にしないでくれ!」
「何でもない訳がないでしょう!血がこんなに出ているのに!」
「本当に何でもないんだ!」
被害男性は、頑なに何も言おうとしない。何故だと彼女は憤りを感じる。
しかし、自警団歴がそれなりにある彼女は、男性の視線がある人物に向けられているのに気がついた。
「とても犯人には、見えないけれど・・・。」
とはいえ、何の糸口も無いので彼女は、その人物の背を追うことにする。
結果は、『黒』だった。
行く先々で、男性たちが崩れ落ちる。
血を出すような者は、極少数であったが男性たちが何かしらの攻撃を受けているのは疑いようがない。
背中を追うだけでは埒が明かないので、犯人と思われる子連れの
「・・・あれ?」
赤い髪の男の子を抱っこしている金髪の少女は、毒気の無いぽやぽやした表情をしていて、とても犯罪行為をしているように見えない。
彼女は、勘違いだったのかと思っていると・・・
「おい、あの子だ!」
「聞いてた通りだなオイ!」
「下手に声は、かけるなよ気付かれて直されたら困るからな!」
馬鹿そうな男の三人組がデカい声でしゃべっている。忍ぶつもりがあるのだろうか?
「やっぱオッパイでっけぇ!」
「ああ!見事な
「うっ!俺もう駄目・・・」
1人の男が
「・・・
少女の胸元を見る。鞄の紐が胸の中央を通って大きな胸をより強調している。
「え?・・・何? それだけ?」
男達のあまりのバカバカしさに呆れて自警団員の彼女は、帰ることにした。
謎の
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