8.日常と非日常(変態)
今日は、火の日。地球の火曜日にあたるけれど意味合いが同じかどうかは知らない。
うーん、と伸びをして体をほぐす。
胸のせいで寝相が悪くなったな~
若いからなのか肩は凝らないみたいだけれど、ついこの前まで貧乳だったのでまだまだ慣れない
着替えてアル君を起こして、朝食を食べる。
昨日に続いてウィルさんが具合悪そうだった。お大事に。
孤児院でアル君を預ける。職員の人にお昼すぎに相談したいことがあると伝えてからギルドに向かう。
書類仕事を卒なくこなし受付の先輩方の仕事を補助しながら仕事を覚えていく。
もうすぐ勤務終了というところでギルド長からお呼びがかかった。
一体何だろう?
「失礼します。」
「おう、来たか。例のオーガロードの魔石だが調査が終わったんで返せるぞ。」
「あ、そうでしたね。すっかり忘れてました。」
「これほどの代物を忘れてたって・・・まあいいか。返せるとは言ったが、出来ればこの魔石を売って欲しいんだが360万でどうだ?」
「360万!?売ります!!」
先日のアレが60万だったから6倍だよ!ウヘヘヘ…私、お金持ちィ!
ギルド長も魔石が買い取れてホクホクした顔をしている。ウィンウィンだね!
大分資金に余裕が出てきたので孤児院の近くで借家を探してみるのも良いかもしれないね。
お昼になったから孤児院に向かい皆と一緒に食事をする。
その際、職員さんに2日おきに6時までアル君を預かって欲しい旨を伝える。
その代り他の日に子供たちの面倒を見るということで了承してもらった。
今日もカルタとトランプは、大いに盛り上がった。
次は、絵本もしくは紙芝居で読み聞かせをして識字率の向上を目指すとしよう。
早速今夜にも執筆しようかな。
宿に戻る途中で使えそうなものを片っ端から買い集めておく。
いつも通り夕食を食べて温泉でダークエロフをいじり倒してから部屋に戻る。
さてさてと・・・紙芝居と絵本どっちにしようか?
うーん、混ぜちゃおう。絵と文字が書いてあって紙芝居スタイルでめくっていく感じで
地球で定番だった昔話をアレンジしておけば楽だろう。
3作品ほど仕上げたところで深夜になってしまった。
今からお楽しみをしたら寝坊するのが目に見えているので渋々断念して眠りについた。
◆◇◆◇
水の日は、・・・水曜日だね。
昨夜は、遅い時間まで起きていたのでちょっと眠たい。
しっかりと身なりを整えて、朝食を食べに行く。
ウィルさんを見かけたので挨拶をして体調は大丈夫かと聞いてみた。顔を真っ青にしていたのでまだ具合が悪いのだろう。
冒険者は体が資本なんだから、ちょっと心配だね。
いつも通りアル君を孤児院に預けてからギルドに出勤する。
私が補助に入った窓口に男性冒険者が殺到する傾向にあったのでフェイントで2回場所を変更した。
一度並んだ列からは離れるべからずと、暗黙のルールがあったのでホイホイ引っかかった冒険者達は悔しそうにしている。
空き気味になった窓口にはあぶれた女性冒険者達が依頼の受注にくる。
「あ、陰険爆乳エルフ!」
「ん?そういう貴女は、淫乱ダークエロフ!」
温泉でエンカウントするダークエルフのお姉さんが窓口に現れた。
「淫乱とは何よ!」
「アレをハート形にしている人は淫乱としか・・・」
「ツルツルの貴女には言われたくないわよ!」
「・・・スティファニー、知り合いなの?」
と受付嬢のエミリー先輩が聞いてきたので
「裸だけのつきあいですから、名前は知りませんね。」
「・・・裸の突き合い?ああ、セフ...」
「違うわよ!宿が一緒だから温泉でよく会うだけよ!紛らわしい言い方をしないで!」
「まあどうでもいいし、後がつっかえるから依頼票とカードをだしてね。」
エミリー先輩が受け取った冒険者カードには、Fランク「キャンディス」と書いてあった。
キャンディスは、依頼を受けたらさっさと行ってしまう。
その後は、これといったことは無く勤務を終えた。
お昼に一度孤児院に行き、アル君達とご飯を食べる。
お昼休憩の時間は、30分ほど残っているので紙芝居をすることにした。
職員さん達からは、また何か始めたぞという視線。
子供達は、一体何が始まるのだろうと期待をしている。
全員に駄菓子を配ったらスティファニー紙芝居劇場の開演だよ!
「では、楽しい紙芝居の始まり、始まり~。昔々あるところに・・・」
身振り手振りと声にも感情をこめて読んだところ、大人達を巻き込んで大好評だった。
「おもしろかったー!」
「もっかい!もっかいよんでー!」
「御免ねー。これからまたお仕事なの、明日は時間がたっぷりあるからね。」
「やくそくだぞー!」
「アル君、今日は6時に迎えに来るから待っててね。」
「・・・うん。」
少し元気がないので抱き締めておでこにキスをする。
「大丈夫よ、アル君は強い子だから。皆も居るし寂しくないでしょ?」
「うん!」
「いいなアルは、キレ―なねーちゃんがいて」
「おっぱい・・・」
「うらやまけしからん!」
「あんなオニクのなにがいいのかしら。」
「だんしってマジサイテーね。」
何か色々聞こえた気がするけど孤児院を後にする。
今日は、新しい防具のテストを兼ねて雑魚魔物退治にいくよ!
・
・
・
オシャレと実用性を兼ね備えた、狩人風の装備を身に着けて街の近くにある森を探索する。
今日の武器はミドルソードの二刀流。
弓や魔法だと一瞬で魔物を仕留めてしまうので生態を調べる為に魔物と戯れようと思っている。
決して中二病を発症したわけではない。
実は、ビキニアーマーも作っていたのだけどアレはダメだ。
着る側に回ってみて分かったけれど頭がおかしいとしか思えない。
というか、恥ずかしすぎて無理。アイテムボックスの肥やしにしてもう出すことは無いだろう。
まあそれはいいとして、エンカウントした魔物を瞬殺しないようにするのが意外と難しい。
スライムもコボルトもゴブリンも弱いからね。
力加減を間違えるとすーぐ死んじゃう。
ちまちまとダメージを与えてノックバックしたり仲間を呼ばせてみたりと工夫してみることにした。
暫くして私は、コボルトの群れとダンスを楽しんでいた。
「ほい、ほいっ、ほほいっ、〈ソードバッシュ〉♪」
躱して躱して躱して、剣の腹で優しく吹き飛ばす。
さあ!もっと踊ろうか?ワンちゃん達!
「あぶなーーい!」
「へ?」
突然の声と共に、ずばばばーんと4匹のコボルトが切り裂かれてしまった。
「ワンちゃーーん!!!」
私の悲しげな声が響く。
「大丈夫ですか?お嬢さん、お怪我はありませんか?」
金髪碧眼、王子様風のイケメンが現れた!?
私は、獲物の横取りをされて「マジか?コイツ」って意味合いで乱入者をジッと見つめていたのだけれど・・・
何を勘違いしたのか
「おっと?初心なお嬢さんには刺激が強すぎたかな?」
と言ってウィンクをばちこーん!とキメながら髪をブワサッっとかき上げる変な男。
「恐くなかったかい?」
「いや、現在進行形で怖いんですけど…」
何かじわじわとにじり寄ってくる
「僕が来たからには、もう安心さ!」
「不安しかないんですけど!?」
私の手を取り、「ほら。」とか言って微笑んできた。
ぶわっと鳥肌が立って変な汗が出てきた。キモい!
何がほらだよ!
タッタッタッタッと複数の足音が近づいてくる。
「マイルズ!急に走らないでよ!」
「あ・・・、またマイルズが女の子に手を出してる。」
「ごめんよ、レイラ。緊急事態だったからね。エレナも人聞きの悪いことを言わないでくれよ。」
人聞きが悪いも何も見たまんまなんですけど・・・
それにしても、アールスト所属の冒険者っぽいけど午前中に見たことのない顔ぶれね?
私の顔も知らないみたいだし。
と言うことは、午後出勤組だ。
新鮮な依頼は朝一に持って行かれてしまうから午後に動くメリットは無い。
朝起きれないのほどナニカをしていたと・・・多分毎日。
「ちょっと貴女!マイルズから離れなさいよ!」
「は、はあ?」
いや、捕まれているのは私なんだけど・・・
「レイラ落ち着く。マイルズのこれは今に始まったことではないでしょ?帰ったらキャリーにも相談して順番とか色々決めよう。」
「うう、分かったわよ!でも正妻は、私なんだから忘れないでよね!」
「分かってくれて嬉しいよ、レイラにエレナ」
・・・アカンこれ、何かしらの主人公とヒロインズやんけ!
何だか知らないけれど巻き込まれてしまった!
「キミ、名前は?」
「ものすごく言いたくない。」
「ははっ照れなくてもいいんだ、これから一緒に暮らす仲間なんだし遠慮はいらないよ」
「暮らさないし、遠慮して欲しいんですけど!」
「マイルズの何が気に入らないって言うの!」
「多分、照れているだけ。・・・カワイイ。」
駄目だ、コイツら話が通じない。
三十六計逃げるに如かず〈瞬動〉!
高速移動で逃げ出す。
「は は は どう して 逃げ るん だい!」
「うぇ!?」
変態がほぼ同じ速度で追ってきた!ドップラー効果?で声がキモい!
びっくりして変な声が出ちゃったじゃない!
もうヤダ!
ズギュンッ!
全速力を出して何とか引き離すことに成功した。念のため装備も替えておこう。
もう二度と会いませんように。
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