9.豚を殺す者

Side:キャンディス(ダークエルフのお姉さん)



私は、キャンディス。

成人してダークエルフの里を出きたばかりのFランク冒険者よ。


まだ人間の街に馴染めなくてソロで活動をしているけれどギルドからは、あまりソロは推奨されていない。

駆け出しでパーティも組んでいないから討伐依頼は、まず受けない。


気を付けていないと、スライムもコボルトもゴブリンも群れなんかに遭遇したらあっという間に命を落としてしまう。

Fランク程度の冒険者では、不意を衝いて運が良ければ一撃で倒せるかどうかのもので

一匹倒したところで囲まれたら終わってしまう。


私は比較的安全な場所で薬草採取をしていたのだけれど、はぐれオークに遭遇してしまい追いかけられていた。

オークを倒すには最低でもDランク相当の実力が必要なので今の私には無理だ。

幸いにしてオークは足が然程速くないので余裕をもって逃げ切れるだろう。


突如、ズボリと足を置いた地面がほんの20cmほど崩れた。

しかし、バランスを崩すには十分効果があり私は、転んでしまう。


「もう!何なのよ! いっッ!」

先ほどの転倒で足首を捻った!?しかも軸足の左足を・・・


ニタニタと嫌らしい表情をしながらオークはゆったりと歩いてくる。

必死に片足で移動する、何故かオークは走って追ってこない。疲れているのかしら?

着かず離れずの距離を保ったまま膠着こうちゃく状態がもうしばらく続くと思っていた。


「ッ!?」


前方の茂みから別のオークが現れた。

少し街の方角から離れてしまうが2匹目のオークを避けるために右方向に進むしかない。


「はぁ、はぁ、はぁ!」

左足の痛みが段々酷くなってくるし、恐怖のせいか息が乱れる。

もう少しで森が途切れる。もう少し、もう少し・・・お願い!


ガサリとすぐ傍から3匹目のオークが現れて道を塞がれてしまった


「あ、ああ・・・あ。」


僅かな希望は、あっけなく絶たれてしまった。

足は止まり、立っていることもできなくなり座り込んでしまう。

3匹のオークが迫りくる恐怖に耐えきれなくなり涙が溢れショートパンツもぐっしょり濡らして地面に染みを作ってしまった。


「だ、誰か。 助け、た助けてぇ!」

オーク達は服を剥ぎ取りはじめる、胸当ても上着もショートパンツも下着も全て乱暴に破り捨てられた。


「嫌ッ!ダメ、ダメぇ!助けてよぉー!」




















ズンッと言う音が鳴った気がした。







ボトリと私の正面にいるオークの頭が転がり落ちてきた。


「ひっ!」


ガシャリ、という音と共に森の奥から身長2m以上ある全身鎧の人物が現れる。

フルフェイスの兜を被っているので表情は、分からない。


『まず、一匹』


全身鎧がくぐもった声でそう言った。

そして腰に佩いていたショートでもロングでもない中途半端な長さの剣を2本抜き放ち、残ったオークに対して無造作に投げつける。

その剣は、生半可な攻撃でダメージを与えられないと言われているオークの額を紙のように貫いていた。


『二匹、三匹・・・他には居ないようだな。』


ああ、私は助かったんだ。

「あ、ありがとう。」


ジッと全身鎧は、私の体を見つめている。はっと裸だったことを思い出し胸と股間を慌てて隠す。


「ちょっと!命の恩人にしても長く見すぎよ!」

全身鎧・・・おそらくは男性に文句を言う。


『・・・すまない、怪我を診ていた。回復魔法をかけても問題なさそうだな。』

そう言うと魔法で傷を癒してくれた。


「図々しいようだけれど、何か羽織るものとか無いかしら?」

『ふむ・・・』

ごつい全身鎧のはずなのに考えているポーズが妙になよなよとしている。オカマ・・・なのかな?


『これしかないんだが』

と出してきた物が、やたら面積が小さい鎧のような物で・・・爆乳エルフが温泉で着ているビキニとかいう物に似ている。


「本ッ当に、これしかないのね?布とかタオルとか?」

『…ああ』


本当に、仕方なしに身に着けることにした。

っていうかこの人何でこんな恥ずかしい防具?を持っているんだろうか?


「・・・胸の部分がガバガバなんだけど?」

『分かった、調整しよう』


全身鎧が何事か呟き手をかざすと胸部のパーツが大幅に縮まり丁度良いサイズになった。

何故だろう、無性に腹が立つ。


『ここは危険だ、街まで送ろう』

「・・・ありがとう。」

助かったはずなのに何だかモヤモヤする。



それから何事もなく街に戻ることができた。全身鎧とは門の所で別れている。


「早く、何か服を買わないと・・・」

街の人々から奇異の視線で見られているのが分かる。少しでも露出部分を腕で隠す。


げ、前方から陰険爆乳エルフがニヤニヤしながら近づいてきた。

何でこんな時に!?一番会いたくない奴に会ってしまうのだろう?




◆◇◆◇




Side:スティファニー


ダークエルフのお姉さんキャンディスを助けた全身鎧は、もちろん私です。

ボイスチェンジャー付きの変装用防具なのです。変態から逃げるために着込んでました。


助けるのが間に合ってよかったと思いつつ、お姉さんの裸体をメモリーに焼き付ける。

今夜は、とても捗りそうだ。


それにしてもお姉さんはビキニアーマーが似合うな~

元の姿に戻った私は、ニヤニヤしてしまうのを自覚しながらお姉さんに声をかける。


「ダークエロフのお姉さん、すごいのを着てますね♪」

「べ、別に着たくて着てるんじゃないわよ!」

モジモジと必死に体を隠す仕草がまたそそる。


流石に可哀そうになってきたのでアイテムボックスからマントを取り出してお姉さんに渡す。


「え?いいの?」

「どうぞ、そのまま差し上げますので自由に使って下さい。」

報酬は、もうたっぷり頂いてるからね♪


お姉さんは、ウルッときたのか涙をにじませながら嬉しそうにマントを羽織って去って行った。




さて、アル君を迎えに行こう。

獲物は変態に取られたしオークは放置してきたので、成果は無し。ギルドには寄らず宿に帰る。

多分オークの討伐報告なんかしたらセリーナさんからお説教される・・・私のサイドエフェクトがそう言っている。


よく動いた後の食事は、美味しいね♪

ガツガツと乙女らしからぬ勢いで肉料理を食べる。


「うー、お腹いっぱい~」

「いっぱい~」


膨れたお腹をさすっているとアル君も私のマネをする。

!?・・・お上品にいかなきゃ!


淑女スイッチをONにしてキリリとしたけれど既に手遅れだった。


「ああ゛~効くぅ~♪」

「きく~♪」


いつも通り温泉でリラックスする。

ガララといつも通りの時間にキャンディスお姉さんも入ってきた。


「・・・今日は、マントありがとね。助かったわ。」

「いえいえ、気にしないで下さい。・・・おや?心なしかお小水の臭いが・・・」


キャンディスの体がビクンッ!と跳ねさせてそそくさと体を洗い始めた。

そもそも臭いなんてしてないけどね。


弄りがいがあってホントいい。



お風呂から上がったらアル君を〈睡眠〉で眠らせる。

それからきちんと〈防音〉をします。


さあ、お楽しみの時間...

おっと、文章もOFFにしますね。

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