外話 1
「奴隷商人の一行が襲撃にあったようです」
「ほう?我が『アエテルタニス』に楯突く組織がいるなど、どこの田舎組織かね?」
金銀財宝に彩られた屋敷の一室に西洋風の法衣を身を纏った白髪の老人が椅子に座って部下の報告を聞いている。
「調べてみたところ、商人の死体がバラバラに埋められ、馬車も崩されて泉に放り投げられていました。持ち去られた馬車は一台。襲撃人数は少数だと思われます」
「奴隷達は連れ去られたか」
「そのようです。部下に襲撃した犯人を追跡するように命じました。すぐに追いつきましょう。それともう一つ、例の熊が殺されました」
「ほう!あの魔国から持ち込んだ熊がか!なかなかの手練であるようだな」
「えぇ。血塗られた百人殺しの熊。『荒北山』なる場所から運び出してきたものですが、頭部が丸ごと爆散されていました」
「魔法の類かね?」
「いえ、詳しくはわかりませんが火薬のようなものであると思います」
「なるほど、犯人は帝国人である可能性が高いと…」
「そうようです」
「ふははは、そうかそうか。帝国人か。まぁ良い、発見次第殺して構わん。もちろん大事にはするなよ。暗殺だ。犯人を殺し、奴隷達を回収するのだ」
「御意…」
報告をしてきた部下は老人に頭を下げて部屋を出ていく。
「今更奴隷数人を連れ去られたところでコチラは痛くも痒くもないが、彼らは特別な奴隷だ。神に召し上げる大切な供物としてな」
老人はにやりと口角を吊り上げて笑う。
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