第3話 黙って沈め

「どうぞ。」

僕が言うとドアが開いた。

ドアから出てきたのは最後に会ったリーダーである天真だった。

「さぁ、一君。お風呂の時間だぞ。終わったら君の歓迎パーティーだ!」

風呂に入るのは構わない。けれど、一つ問題がある。

「着替えが無いんですけど。」

「あ。」

沈黙。

両者気まずそうな雰囲気になった。

「1日だけ、我慢出来るかい?」

「はい。それに、天真さんが来る前に入浴は済ませてありますから。」

「あ…そうなの。」

「じゃあ、先に会場にご案しようか!」

はい、と言って僕は、天真についていった。

少し広めのホールに着いた。

あるのは14個のテーブルと椅子がくっ付けてある。それと、かなりデカイモニターだ。

「ここが会場だよ。まぁ、適当な場所に座っていてくれ。」

「はい。」

僕は、すぐ近くの椅子に座った。

それじゃあ、全員揃うまで待っていてくれ。と言い残して天真は入浴場へ向かった。


それから三十分程、僕はただボーッとしていた。

ガタッ。

扉が開く音がした。

振り替えると、そこには見知らぬ男がいた。

エクソシストの者だろうか。

僕は軽くお辞儀をした。

相手はこちらをジロジロ見ながら寄ってきた。

「君が、噂の新入り君かな?」

「はい。」

僕は続いて「坂根 一です。」と言った。

「私は、暴食の眷属。バフォメットの契約者の桂木集〇かつらぎしゅうだ。宜しく。」

「ところで君は、にんじんは好きかい?」

「え…いや、まぁ人並みには…」

「そうか。」

桂木はそう言って僕の隣に座った。

なんだこの男は…それに、暴食の眷属…?

車で聞いた例のやつか…?

「あの、幾つか質問してもいいですか?」

「あぁ、構わないよ。」

「それじゃあ、他のメンバーと悪魔について詳しく…」

ドゴォン。

突然謎の爆発音と共に辺りが揺れた。

「!?」

僕は辺りを見渡した。

外で何か起こってるのか…?

「・・・お話は後にしようか。とりあえず、ついておいで?」

僕は、無言で頷いて彼についていった。

途中、リーダーとドータに出会った。

リーダー曰く、爆発は三ヶ所で起こっており、1チーム五人か四人で各自向かったらしく、他メンバーは、別の入り口から向かったらしい。

僕らは、最初に入ってきた正面入り口から外へ出た。

ドゴォン。

向こうの方で何かが爆発した。

僕らは、急いでそこに向かった。

「リーダー。魔装をしておきますか?」

桂木が言う

「うん、その方が早いね!各自、魔装準備だ!」

天真は答えた。

「了解」

ドータと桂木が言うと同時に僕らは、魔装を開始した。

「我が名はベルゼブブ。蝿の王にして魔神の君主…魔装…暴食〇グ・ラ♡」

「我が名は、サタン…悪魔の王!地獄の支配者にして、憤怒の化身!!その死を以て償え…魔装…憤怒〇ラース……!!」

「我は暴食の眷属。黒ミサの山羊。凝固と溶解を司る悪魔…魔装暴食の眷属〇グラトニー……」

「我が名はルシファー。光をもたらす堕天の悪魔…我が光を拒むものを我が光にて裁こう。魔装…傲慢〇スペルビア」

自分とは違う魔装を初めて見た。

ドータは三つ首の猟犬をイメージした毒々しい色合いの鎧を身に纏っている。

桂木は山羊のような兜と黒い羽。右半身は赤黒く、左半身は青黒い鎧だ。

そして、リーダーは・・・

神々しい程の白い鎧と白い羽。

長剣を右手に持ち、月桂冠のような装飾を頭に着けている。

やはり、魔装をすると身体能力が通常の何倍にも跳ね上がるのだろう。

先程までとは段違いに速い。

悪魔殺しになった僕には…もとの日常を取り戻す使命がある。

この力で、僕は…いや、僕らは!かつての日常を取り戻す…!

僕は、拳を握り締めながら爆発したところへ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

だから僕は、復讐を決意する。 愉悦太郎 @YUETUtaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ