第一話 第七章「ソラと父の背中と」
自称「
……と思ったら「あ、センパイ!」と自宅近くに現れた。
一礼して、てってっと寄って来る。本当に仔犬のよう。可愛いなぁ。
「今日はすみませんでした。用事でそっちに顔だせませんで」
「いいよ、明日でも
「……こんな恋縫でも、未来はありますかね」
とつぜん妙な言い回し……未来?量産型が輝きたい……てあれなのかな。
「ん。んん、あたぼうよ!模型は愛を形作るもんさね、未来はキミのもんさぁ!」
「わうわう!わはー、有難うです。ではまた!」
にこりと一礼。尻尾をふりふりって仔犬娘は帰宅していった。
何だか不思議な子だ。いや、プラモ趣味のあたしが言うなって話だけど。
「……すぐにでも模型部紹介しなきゃなぁ。未来は有望だ」
■
「おう、
「ただいまって……おとぅ、何で外に?……仕事は一段落?」
家に戻れば白い巨人は去って……るハズもなく、
何故か
父は……我が何故か家の上方を見上げてた。思わず目線がゆく。
「なんかお前……奇妙な事になってんな」
「え!?おとぅ見えるの」少し期待。
「デカいの空いてんのな」「え?」屋根、とゼスチャーする父。
「あー。あ……そーだね、家古いし……壊れたのかな」
見えたのは破損した屋根か。相談相手出来たと思ったのに……。
「俺の親父の代の家だしな。修理の手配を考えなくちゃなぁ」
「ははー頼むね……穴以外に……何かみえない?」
ちょっと期待。何となく聴いてみた。
「白い……」
「し、白いなに!?」
「干してあるお前のパンツ」
「ぬっころす!」
「はっはっ何が見えてると期待したいんだ?野生のタヌキでも隠し飼いか、あー?」
このノリだ。学生ですかアンタは。
「いや……もーいいっす。穴だけ見えてればいいんよ」
そっか、と苦笑すると、ぽわんとわたしの頭を撫でてくれる。
「まぁ、新しい
俺もすんげぇ目にあって、すんげぇ対処で青春した」
「話が見えないんだけど……」
「お前はマイペースで行けな、って事だ。俺もそうした、そゆことだ」
「んん?」よく分からない
ぽわぽわ、ぐりぐり。流石おとぅの撫で方が一番うまい(気持ちいい)
んん~っと肩を回しながら、夕飯にすっか!と我が父。
ズボラで面倒くさがりで、思春期の
高校生の時、何だか凄いことしてこの街の有名人になったらしい。
ぶっきらぼうで言葉がちと足りない。あたしの母の事も聞かせてくれない。
でも友達の様な父親像……その背中はいつも大空をみている様だった。
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