デート編 魔王と勇者の1日

第5話 プレゼント

 「うん、似合ってるじゃん。さっきよりはマシね。それは私がプレゼントしてあげる」


 という訳で魔王に服を一着買ってあげる事にした。

 

 「俺はあのままでも良かったがな」


 支払いの最中にそんな事を言う魔王。

 買ってあげたんだから感謝しなさいよ。


 「何いってんの。良いわけないでしょ」

 

 どこまでアホなの? さすがにあの格好はダメ。一緒にいる女の子の気持ち考えてよ。

 ・・・・・・魔王だから無理か。

 

 という訳でこれからようやくスタート。

 今日一日、私達は敵同士ではない。

 かといって恋人ってわけでもない。

 今はまだ、恋仲の関係。

 それでもバレたら大変だし、私も危うくなるだろう。

 魔王と仲が良い勇者なんか裏切ったと思われる。たちまち人類の敵になる。

 だから秘密。絶対に守る!


 ・・・・・・だけどもしバレたら、魔王は私をどうするのかな?

 やっぱり倒すべき相手だから、行動に出るのかな?

 それとも、守ってくれるのかな?

 どっちにしても、悪い方に進むよね。

 

 「どうした、勇者。顔が強ばっているが」


 「えっ? あ、ううん何でもない!」


 ダメダメ! 余計な事は考えちゃダメ! 今日は魔王とのデートなんだから・・・・・・! 

 

 「ときに勇者よ」


 「ん、なに?」


 「今日は何を買いに来たのだ?」


 魔王との戦いに勝った私は、魔王を連れ出し街に来ている。

 魔王は買い物だと思っている。

 まぁ私が買い物に誘ったから、そう思うのは当然。

 今のところは勘違いをしている。

 まぁ下手に話して周囲にバレるよりはいいか。


 「まずは色々見て回るわ。そのときに欲しいものがあれば買う」


 「買い物とはモノを買いに行く事ではないのか?」


 「モノを買いに行く事だけが買い物じゃないのよ。女の子にとってはね」


 「言っている意味がわからん。どういう事だ?」


 腕を組み、首をかしげながら眉毛を八の字にする魔王は何だか面白い。


 「まぁいいからいいから。さっ、行くわよ!」


 私は魔王の手を取り、歩き始める。

 手を引かれながら魔王は「勇者よ、どういう事なのか教えてくれ」と、しきりに聞いてくるけど、私は「魔王にはわかんないわよ」とはぐらかした。


 恋仲だけど、今はまだ、わからないままがいい。

 

 

 

 


  


 

 

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