第2話 早く起きろ
―魔王の寝室にて―
「ま・・・・・・おう。ねぇ? おき――さいってば」
「ん~、あと十分待て・・・・・・。まだ寝かせろ」
昨日の
昨日あれだけ早く起きろと釘を刺したにも関わらず、目の前のベッドには未だ寝たままの魔王の姿がある。
しかも結界まで展開されている。
そしてあと十分なんて待てない!
「――仕方ないわね。有言実行よ」
魔王の結界は、魔力を使って展開されていて、結界は魔王を中心に半円型に展開されている。
だけど聖剣を持つ私には、魔を討ち滅ぼす力がある。
私の前では"魔"は無力。こんな結界を壊すぐらいは朝飯前よ!
腰に携えた聖剣の柄に右手を置き、抜刀の構えをとる。
ふぅー、と静かに息を吐き、止める。
「ふっ!」
腰を切り、鞘から素早く抜刀。
結界を上下二つに分断し、さらに縦にもう一撃。
床に衝撃が走り、それは魔王にも伝わる。
「な、なんだ!? 敵襲か!?」
突然の衝撃に魔王は飛び起きた。
「おはよう、魔王。いい目覚めね」
ニコッと魔王に笑顔を見せるが、すぐさま、パラパラと崩れた壁を見る魔王。
壁には横一線に斬撃痕がある。
「・・・・・・勇者よ。普通に起こしてくれ。殺す気か?」
「仕方なかったのよ・・・・・・! あなたがあまりにもよく寝ているから、つい」
汐らしく振る舞い、涙もついでに浮かべてみる。
「お前にそのような振る舞いは似合わんな。さて、もう一眠りするか」
布団を被り、再び眠りにつこうとする魔王。その枕元に聖剣を突き刺す。
グサッ!
「あ、あぶないだろっ! 今度こそ殺す気か!」
「早く起きろ。出掛けるわよ」
「はい」
殺気を込めた視線で見下ろす私に気圧されたのか魔王は素直に起きてくれた。
魔王が支度を整える間、私は部屋の外で待つ事に。今日のプランを再確認する為だ。
(今日は魔王とのデートよ! がんばれ、私!)
魔王と勇者。
二人は秘密の関係なのだ。
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