第8話 収入キタ─────!

「こ、これは…………?」



「『状態異常緩和薬』です。その名の通り、状態異常を改善させる薬品です」



 まあ、『状態異常回復薬』じゃないけど、ごめんね。



「おお、なんと! 状態異常を緩和させるじゃと!?」



「あ、ああ、はい。そうです」



 お爺ちゃんの驚きように私が逆に驚いた。え? 状態異常緩和薬だよ? グランディールレベリングオンラインでは、初心者にしか需要がないあの状態異常緩和薬だよ? なんでそんなに驚くの?



「………………念のために鑑定してもいいかのう? 別に、嬢ちゃんの事を疑ってる訳じゃないんじゃ」



「勿論です」



 確かに、偽物売り出しちゃったらヤバいよね。一応、自分でも確認は取れてる訳だけど。



「おーい、クウリ。鑑定、頼まれてくれんかのう」



 後ろを向いてそう呼ぶ、お爺ちゃん。すると、すぐに青年の男が現れた。この人が、さっき言ってたクウリって人で間違いない。青い髪の優しい瞳が特徴的だ。



「………………僕もこの類いの薬品は初めて・・・見ますが、恐らく本物で間違いないでしょう。『鑑定』でも、それらしき鑑定結果が出ています」



 は、初めて? 今までなかったの、これが? ドウイウコト?



「クウリ、いつもすまんのう」



「いえ、別に苦でもありませんから」



 クウリさんはわずかに苦笑しながらそう答えた。



「そう言ってくれると助かる」



 お爺ちゃんが微笑んで言った。いやいや、何かいいシーンみたいになってるけど、『状態異常緩和薬』が今までなかった事の方が遥かに気になるんだけど?



「…………ところで、嬢ちゃんや。これと同じ物はどれくらいあるんじゃ?」



「それを含めて30本用意してあります」



「よし、100000リルで全て買い取ろう!」



 ………………え? 100000リル?


 私も大体リルの価値が分かってきたが、大体1リル=1円位。ってことは…………10万!? たった30本で!?



 いずれ材料が揃って『状態異常回復薬』でも作った日には、いくらで買い取ってもらえるんだろう?



「クウリ。金庫から100000リルを頼むのじゃ」


「分かりました」



 クウリはそう言うと、階段を使って上に上がっていった。



 ………………まあいいや。もらえるものはありがたくもらっておこう。


 私は、そんなことを思いながら、今から懐に入ってくるお金を想像して、にやけるのだった。




◇◆◇◆◇



「ぐふふ………ぐふふふ………!」


 ニヤケ顔が収まらない。だって10万円だよ、10万円。何だって出来そうな気がする。





グウウゥゥゥゥ~~………………




「…………そういえば、丁度昼飯時だったよね」


 この音、誰かに聞かれてたら恥ずかしい、ほんとに。


 腹も減った事だし、なんか食べに行こ。これだけあれば、たらふく食えるでしょ。あっちの世界の私は、お肉を食いたいと思ったことはないけど、この身体になってからやけにお肉を食いたくなってきた。



「お肉屋さんないかなぁ」



 私は、あちこち見回しながらお肉屋さんを探すのだった。相変わらず、私の顔はニヤケっぱなしだった。

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