第6話 冒険者登録??
「はふっ、はふっ」
熱っ! このスープ熱い!
私はミネストローネもどきを頬張っていた。食材は違うが、ミネストローネと若干似ているのでそう命名した。
育ち盛りの身体には足りないかも知れないけど、とりあえず、パンとスープを頼んだ。合計180リル。残り20リルしかない。貧乏過ぎる…………。
「このパン硬いっ…………!」
ガリッとか音なったんだけど!? 歯とか折れてないよね? 欠けてないよね??
「あっ、そうだ。このパンをスープにつければ…………」
ひたパン。よくCMでやってた気がする。
「いける!」
サクサク感は無いけど、その分柔らかい。これならいける。
私はそのあとも、ムシャムシャとパンをスープにつけて頬張った。周りの人も、そんな食べ方あったのか!みたいな感じで真似してたみたいだけど、気づかなかった。
◇◆◇◆◇
「昨日よりも寒くなってる気がするっ…………」
ブルッと思わず身体が震えてしまう。上には、一応ダッフルコートを羽織っている。
「とりあえず、冒険者ギルドはっと…………」
宿屋の人に描いてもらった地図を頼りに、冒険者ギルドを目指す。多分、これも私の容姿が成せた業だろう。頼んだら、親切に描いてくれた。
「嬢ちゃん、良かったらこれ、一本やるよ」
丁度近くで屋台を開いておっちゃんが、串に刺さった肉を出してくれた。出来立てなのか、ホカホカ煙が立っている。
「ありがとうございます!」
ありがたく頂くことにした。ここで店やってるってことは、悪い人じゃなさそうだし。でもおっちゃん、ごめんね? 私、見た目はこんなんだけど、三十過ぎてるからね?
「ふぅ、ふぅ~…………」
少し冷ましてから、頂く。
「おいしい~!」
肉が思ったよりも柔らかい。あっちの世界よりも、こっちの方が断然質がいい。しかも無料。やったね。
肉を頬張りながら歩くこと10分ちょっと、冒険者ギルドが見えてきた。
「いかにも冒険者ギルドって感じがする」
冒険者ギルドの入り口のドアに近づくと、冒険者ギルドって文字が書いてあった。勿論、異世界語。スキルのお陰で読み取れた。
「中…………どんな感じなんだろう?」
ちょっとドキドキする。妙な高揚感が私を支配した。
すぅ~、はぁ~、と深呼吸してドアを一気に押し開けた。そこには──────。
「がっはっはっは!」
「んだぁ、てめぇ。やる気か?」
「いいぞ、やれやれ!」
パタン。
「………………薬剤師ギルドに行こう」
冒険者ギルドは駄目だ。あそこは危険地帯。行っちゃ駄目、絶対。
思ってたのと違うにガックリとしながらも、私は薬剤師ギルドを目指した…………って道分かんないじゃん!
私はもう一回宿屋のお姉さんの所に戻って、今度は薬剤師ギルドの場所を聞いた。
「ごめんねぇ。薬剤師ギルドはどこにあるか分からないの」
………………まじですか。
「薬剤師ギルドって、神出鬼没のギルドって言われてるらしくてね」
し、神出鬼没のギルド? どういうこと?
「何でも、拠点を色々変えてるらしいからね。詳しい所在が分からないんだよ」
ど、どうしよう。冒険者ギルドに行くしかないの? で、でも…………あんな危険地帯に戻るのは………。
「ごめんなさい、ありがとうございます」
私はお姉さんに礼を言って、宿を出た。
「はあーぁ…………」
自分で薬作って売るっていうのもいいんだけど、相場分かんないし…………第一、信用がないからなぁ…………。かといって、冒険者ギルドは絶対嫌。
「………………探すか」
私は、とりあえず神出鬼没のギルド、薬剤師ギルドを探すことにした。
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