第2話 ここは……異世界?
「うぅん…………? ここは一体?」
私が目を覚ますと、そこには一面、雪が広がっていた。私、さっきまで部屋の中でゲームやってたはずなんだけど…………? っていうか。
「寒っ…………!?」
そう。寒い。とにかく寒いのだ。ん……? なんか私の声高くない?
「あーっ、あー…………」
やっぱり高い。しかも地面が滅茶苦茶近く見えるんですけど…………!
「私の身長が小さくなってるってこと?」
あり得ない。そんな夢物語みたいなことがあるわけが…………。 ……と。
「そう言えば…………ここ……!」
私は、辺りを見回してGLO内の雪原ステージにそっくりだ、と思った。もしかすると…………。
「……本当に異世界に転生した……!?」
……はっきりさせるためにも、ちょっと試してみよう。
「ーーーステータスオープン!」
私がそう唱えると、ブォン! と目の前に画面が現れた。
「うぉ!? ほんとに出ちゃったよ…………」
ユナ Lv. 121 ジョブ:『調合師』Lv.67
HP 5364/5364
MP 7456/7456
【スキル】
『剣術Lv.47』『魔術Lv.36』
【エクストラスキル】
『調合Lv.62』『異世界言語』
「ん……?」
私がステータスをスライドさせていくと、あることに気づく。
「『異世界言語』…………?」
こんなエクストラスキルなんてなかったはずだけど……? いつの間に……。
私がそんなことを考えていると、ピコン、と音が鳴った。聞き覚えがある。確かメールの通知音だったはず。
私はステータスの右上の【MENU】をタッチ。すると、様々な項目が上からずらっと出現する。その中の【メール】の項目を選択した。
「はぁ…………?」
メールの題目には、【神様からの伝言】とあった。意味がわからない。
私は困惑したが、とりあえずそれをタッチ。すると、長々とした文章が表示された。
『橘葵様へ
突然このような形で異世界へ転生させてしまったこと、深くお詫び申し上げます。
このメールを要約するとこうだ。
何らかの手違いで『異世界へ転生する』というコマンドが私のパソコンのゲーム内に出現。直ぐに取り消そうと動いたものの、その前に私がそれをクリック。そのせいで異世界と魂を繋ぐ魔法が起動し、転生。こうして今に至るわけである。
『…………なお、そのお詫びとして、貴女がGLOというゲーム内で使っていたデータをそのまま貴女のステータスとなるようにさせて頂きました。アバターもです。これがお詫びとなるかはわかりませんが、この度はこのような不祥事に巻き込んでしまい、誠に申し訳ありませんでした』
そう言えば、私……GLO内のアバター……幼女なんだっけ……。完全に忘れてたわ……。
……文面から察するに私は元の世界に帰れないらしい。とは言ってもあっちの世界に特別未練があるわけでもないし。
「……まあ、せっかく転生したんだし、異世界を楽しもうかな」
私はやけにスッキリしたような声で言った。
「…………ハックション!?」
……そういえばここ、寒かったんだった。
「えーと……確かアイテムストレージにあったはず……」
私は【メール】を閉じると、今度は【アイテム】の項目をタッチする。
「何か上着になりそうなものは…………」
あ…………あった!
私は白とピンクのチェッカーが特徴的なダッフルコートをアイテムストレージから選択し、取り出す。
「ふーー…………暖かい……」
ダッフルコートを身に纏うと、分厚い毛が私を包んでくれる。
「…………取り敢えず街を探さないと」
こんな寒い中で野宿なんてしたくない。今日中になんとしてでも街を探さないと。
私はそう思うと、雪に一面覆われた地を一歩一歩足跡を残しながら進んでいく。
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