【とある神の語り ②】


2年前——


 ある一人の冒険者が、薬草採取の際にマモノに襲われ死亡した。


 そういうことになっていた。


 死体となった冒険者を発見した冒険者パーティーが『マモノに襲われた』と勝手に判断したのだ。だが、そう判断してもこの世界においてあながち間違えではない。


 人間に害するものなど、昔からマモノと決まっているからだ。


 だから、マモノの立場を考えようとしない。

 彼らが何を思い、行動しているのか。

 誤った常識で、実際に苛まれているのは一体どちらか。


 マモノ以外の者に襲われる可能性なんて微塵も考えないのさ。



 さぁ、ホープ。


 君は希望だ。


 ボクが選んだただ一人の希望、そして可能性。


 今は何も分からないかもしれない。

 そういうなんだ、許してくれ。


 君はたくさんの人と出会って、会話して、恋をするのも良いかもしれない。そのうち自ずと気づくだろう。自分の使命を。

 君の名前に込められた真意と、君自身の力がこの世界を救うんだ。


 ボクは見てることしかできないけれど、君なら出来るよ。絶対に。

 ボクが他人に期待することなんて滅多にないんだから。


 頑張ってね、の希望、『ホープ』


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