情報が多い

 面接直前、就職希望者を対象に小論文のようなものを書かせる企業は少なくない。その内容は企業によって違うだろうが、私の場合A4の紙を渡され、テーマが書いてあるので30分以内にあなたの考えを書いてくださいと言われた。渡された紙を裏返すと、一番上に『情報について』とだけ書かれていた。一瞬それこそ情報の少なさに驚いたが、時間がないため思いついたことをとにかく書いていった覚えがある。

 この文章ではそのとき書いたであろうことを思い出しながら、情報についてもう一度考えてみたい。


 ここでは人間にとっての情報について述べる。情報とは人間が蓄積してきた知識の総称と言えばわかりやすいかもしれない。大昔は口伝えにて、しばらくすると書物にて、そして現代ではネットなどでも、知識を得ることができる。ネットの普及などによって、人はいちいち人に会ったり、本屋にいかずともPCやスマホで簡単に大量の情報を得ることができるようになった。それは良いことではないかと思うかもしれないが、そうでもない。簡単に情報を得ることが可能となったと同時に簡単に情報を流すことができるようになった。ネットの検索エンジンで数個の単語を入力すると、何千、何万というサイトが表示される。その中から関係ありそうなサイトを開き、情報を調べるわけであるが、はたしてその情報は正しいものだろうか。ブログやホームページなどは一部を除いて、誰でも自由に作成することができる。それを作成した人の知識が正しいものかどうかはスペシャリストでないとわからないだろうし、スペシャリストであるなら、検索する必要もない。慣れていない人だとまったく違う情報を掴まされる可能性がある。料理のサイトを見て、そのレシピどおりに作ったのにまったくうまくいかなかったというような経験をした人もいるだろう。


 この情報過多な時代、必要になってくるのは情報を見分ける能力ではないかと考える。どの情報が自分に必要なのか、どの情報が必要でないのか、それを見極めることが大事なのである。


 例えば、検索をして関係ありそうなサイトがいくつかあったとする。一つ開いてみるとAという情報があった。ここで、その情報が正しければ良いが、間違っていたら大変なことになるかもしれない。念の為もう一つ開いてみると、今度はBという情報が載っていた。こうなると、どちらが正しいかわからない。さらにもう一つ開いて見るとAという情報が掲載されていた。ならば、割合としてAのほうが正しい可能性があるのではないかと考えられる。そこでAという情報を選択して正しければラッキーである。たしかに正しい可能性は高いが多数決で決めたようなもので、少数派を切り捨てることはできない。そこで、Aという情報を検索してみる。するとそこには「Aは実は間違っている」と書かれているではないか。こうなってしまうと何を信じて良いのかわからなくなる。


 このような状態になったとき、どうすればよいか。必要なのは情報を流している人物や出典が信用に足るかどうか判断することである。ある生物の生態を知りたいと思ったら、どこの誰が書いたかわからない情報よりも、有名大学で何十年もその生物を研究している教授の情報がより正しいと判断できる。それでもまだ怪しいと思うなら、正式に発表されている論文などを調べて照らし合わせてみると、より信憑性はあがる。なぜならば、知りたいことに、最も詳しいと思われる人物たちからの情報だからである。


 数ある質問板などで質問をすると、色々回答をしてもらえる。だが、それが統一されているとは限らない。誰の情報が正しいのだろうと判断する基準として、その回答者が今までどれだけ正しい回答をしてきたか調べるという方法もある。または、同じような情報を調べて実践した人の回答も正しい可能性が高い。やはり、情報発信者がどれだけ信用できるかを見極めなければならない。


 正しい情報は間違った情報や悪意ある情報の中に埋もれている。それらを調べるのは経験も必要だろうが、まず慎重になることである。一つの情報を得たからといって、それを丸呑みにしない。その情報が正しいかどうかを知るためにさらなる情報を得る。そうやって一つの情報の信憑性を確かめていくことが必要となる。


 この文章の内容も正しいとは限らない。ぜひ、見極めて役に立つかどうか判断してほしい。

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