④朝日が昇る道標
「シロクロノバケモノ?」
リコさんに示しだされた窓の方へ顔を上げてみた。
青と紫を主に散らばっているステンドグラスに、少しなめの黄色い星。
上の方には黒色に囲われた小さな橙色の丸の中に、サカナの骨の形をしたものが腹部から黒い管をのばしている。
シロクロノバケモノというモノが知らない私には、何だか産まれる前の赤子、胎児と似た形をしている気がした。
この方が人知を超えた何かの姿?
こんな形をしていて話せるの?
何かしらの雑誌や神話など載っているUMAでもカミサマの形もしていない胎児のようなもの。
「うーん?」
「あれぇー?もしかして、宗教が違いましたか!?」
訳が分からないがゆえの微妙な反応に対し、リコさんにそう聞かれてしまった。
え?
宗教?
宗教ということはシロクロノバケモノはカミサマなのかな?
宗教入って無いというか……この世界線の神話なんて来たばっかりで分からない。
かと言って知ったかぶりをしても、後々怖いことになるかもしれない。
どんな風に返信すればいいんだろう?
何を話せばいいのやらと迷っていると、
「ああそうじゃなくてだな……彼女は長い間冒険家をしていたから無神教者だとユキが言ってたぞ」
「冒険家」
ラルドさんは冒険家という設定を駆使してイカサマを発動させる。それを聞いたリコさんは、少しの間口をグッと閉じた。
「リコさん?」
「いやぁー冒険家って職業を長い間続けるほど楽しいものですかねぇ」
彼女はさっきまでとは違う低めのトーンの声でこう言う。
そして、シロクロノバケモノのステンドグラスを目を細めで見て、
「最初はどの生物も大体こんな形をしているのに、何でこんなにも個々で変わってしまうのでしょうねぇ」
世界自体を皮肉るようにボヤいた。
私はシロクロノバケモノがどんなカミサマなのかは分からないけど、生き物に個体差を邪険にする気持ちは少し分かる。
他人がもっている個性は、嫌悪を抱くものもあるけど、自分から視たら魅力的でステンドグラスみたいに色んな色をしてキラキラ光っている部分もあって。
個性の中のキラキラしているモノは、自分だけでは中々気づけない。
そしてキラキラしたものを見つけられない人は、相手の光っている部分を憎悪の対象へ変化してしまう。
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