③朝日が昇る道標
「たっ多分、大丈夫じゃないですかね?ラルド」
少し焦っているユキに対し、急にラルドは深刻そうな顔をする。そして、一呼吸置いてから口を開いた。
「……結局はモノガタリを進めないと分からないことだしな」
また急に彼は不気味な表情をし、カノンさんが開けた扉の向こう側へ歩んでいき、さっと扉を開けた状態にする係を変わった。
この様子を見たユキは、少し悲しそうにふわふわな耳を垂らし、
「本当はこのまま進めていいか悩んでるくせに」
とポソッと皮肉るように言った。
更に機嫌を悪くしたのかラルドの横を素通りし、カノンさんに"先に食堂に行ってます''と一言置いてから、先に歩いていってしまった。
「あっあの?」
気まずい雰囲気にかける言葉を探していると、
「まっまあまあ!いつもの事ですし、ユキさんも朝食を食べたら落ち着くでしょうし、きっと大丈夫ですよぅー!ささっレッツラゴー!」
「ええ!?」
リコさんが半場強引に私の肩を抱き寄せて、そのまま一緒に部屋から歩きだした。
今の雰囲気とは対称的に廊下には、大きな教会にありそうな形をした大きな窓にステンドグラスが使われていて、陽の光が白色の道を様々な色に照らしださせれていた。
灰色の髪のラルドさんも道と同じように歩く度に、アオ、アカ、ムラサキとカラフルに変化していた。
……ころころと雰囲気が変わっていく廊下道。
なんか雰囲気がころころ変化するラルドさんの姿そのものを表したみたいだ。
ユキが言ったことと彼の様子を見るに物語を進めたいのか、進めたくないのか迷っているのだろうか?
"「でも八重が来てくれて良かった!これでやっと物語が進んでくれる!そして元の世界に帰れる!」"
この言葉は嘘には聞こえなかったけど、少し自分を押さえつける為に言っているような気がする。
物語が進めば元の世界へ戻るのが嫌なのか、進める段階で何か不安な事があるのか。
2人の様子を見るに、この世界のジャンルが何かすら分かってないなら前者の方だろう。
それなら何故銀の鍵事件の真相や、私が何かしたことについては"真実を知るにはまだはやい"と分かるのだろうか?
あっ
「そこで人知を超えた何かの存在か」
この存在が説明したラルドとユキにそうゆうルールだと説明したのかもしれない。
そしたらますます生物の正体は、神様と崇められるモノが実在したとか、未確認生物やUMA的なモノなのか。
そして、銀の鍵事件自体も半分ファンタジーな世界観を踏まえて考えていいかも。
あっ……そういや現在進行形で幻想的な別世界に居ましたね。先輩だったら状況把握も魔法についての把握も速いんだろうなぁ。
「お客さん、いやぁーお目が高いですねぇ!そう、この窓に描かれているのは"シロクロノバケモノ"なんですよぅー!」
私の勝手に口から漏れている"人知を超えた何か"という単語に反応したリコさんが、体を1つの大きな窓へ向けてニコッと微笑む。
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