②朝日が昇る道標

リコさんが隅の方にひっそりある木の扉を豪快に開き一礼する姿は、メイドというよりテーマパークのスタッフで、


「カノン、先導たのむ」


「了解しました」


一方のカノンさんは礼儀正しくスカートの裾を少し上げて礼をし、無表情でプログラミングされた動作をする機械系。何かに陽と陰の対称的な人を例としてだされているみたいだ。


「今日のカノンさん、なんか嬉しそうですね」


彼女の様子を読み取ったユキは、耳をぴょこぴょこ動かしながらそう言う。


え?喜んでたんだ。

無表情に見えたのだけど。


「はい、門番さんからお客様が冒険者だとお聞きしまして」


え?いつの間に冒険者になってる。

冒険者ってナニ?

旅人と一緒の意味かな?


……それとも放浪者という意味だったりして。


「ああーなるほどー」


ユキは棒読みで返事をし、ラルドの方もあちゃーと感じで手を顔に置いた。


「では食堂までご案内させていただきますね」


「はっはい!」


話を切り替えるように、2人は元気よく敬礼して返事をし、カノンさんを先頭に1列になって、お城の中に入っていく。私もその列の4番目に入り、彼女について中に入っていった。


そして初めての城内へ!

少しワクワクと不安が入り交じる中、初対面の部屋は普通の倉庫のようだ。


中には木製の棚に工具箱と麻袋、意外と現代的な大きめのチェーンソー。


除草や剪定に使われているのであろうハサミと両刃がま、扉の端の方に掃除用の箒やちりとり、クワやバケツが置かれている。


これは、

こっこれは!


「よく事件で死体が発見される農業倉庫場所ですね!……あっ……もしかして……この世界……物語のジャンル……はサスペンスでしょうか?」


少し震え声で自分の想像で自滅した私に対し、ラルドとユキは立ち止まりちょっと小刻みに震え出す。先頭と後方にいる別の対称コンビは、話についていけず首を傾げた。


「えっ」


マジカ。

先行き不安になってきた。


サスペンス主人公って半分死神みたいなもので、行く先々に人が死ぬと表しているような。


そして……私が主人公と言ってたような。


というと、私が動く度に誰かがお亡くなりになられる世界に来てしまったのか?


「ワタシ、ヒキコモッテタホウガ、イイカモシレナイ」

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