④明暗馬車の向かうままに
そして硬めの獣革で作られたカーテンが開き、
「よーす!ラールド!ユーキィ!おかえりぃーなさいませぇー!」
「……おかえりなさいませ、ラルド陛下、ユキ様。そして、お客様」
元気な声でサーバルのようにジャンプして赤みがかかった薄茶色のポニーテールを揺らすメイドさんと、少し後ろで同じ服をきている人が弱々しい声で挨拶をした。
その方は顔白で猛禽類みたいな目つきをしながら、礼儀正しくお辞儀をしている姿はクールなようで、薄クリーム色の髪に、ミミズクにある羽角みたいな毛がらぴょこぴょこ動いていて、なんかちょぴっとかわいい。
「ああっ着いたのか」
「……リコさん、カノンさん、お迎えありがとうございます」
2人はそう言い、重い空気から逃げ出すように早々と馬車から降りる。
「あれ?2人とも朝っぱらから暗いっすねぇー。いい天気なんだから元気よくいきましょー!」
すると気を使うようにポニテのメイドさんが、満面の笑みでユキの肩をパンパンと2回叩いた。
そして、次は馬車の中の方へ向きを変え、
「お客さん、降りないんですか!?せっかくお客人が来ると聞いたから朝食用意したのに食べてくれないのは残念っすねー」
と言って苦笑いする。
「ぁあ……はい!降ります!」
私は混乱している頭を2回横に振り、1回真っ白させてから馬車からゆっくりと降りる。乗る時と違って歩く度に車の揺れと、馬が近くにいるような感覚に触れたような気がする。
「あっ」
「おっと大丈夫ですかい?」
私が盛大に踏み台を踏み外した所を、元気なメイドさんが抱えてくれた。そして、何故かそのままキツく抱きつかれ、胸部に頭が飲み込まれていく。
……こっこれは!先輩よりは柔くないが、少々羨ましい中々のお胸!
筋肉質なお腹の固さで、家事か庭仕事などの雑務をするメイドさんだと鍛えられていて頼もらしい。
先輩は母性本能を擽られる感じの柔らかs……
って!
「私は何を冷静に分析しているんだ!!ははっ離して下さい!!」
違う混乱がでてきて困惑していると、メイドさんはワッハッハーと笑いながら優しく離してくれた。
「すいません、お客さん!なんか物悲しそうなお顔をしてたから、胸を貸したら元気出るかなぁーと思いましてぇー!」
「元気はでました!ありがとうございます!?」
彼女の言葉に対し、困惑したまま意味不明な返事をしてしまう。更に、後ろにいる2人は"やっぱあっちの気があるんじゃないか"と小声で話し始められた。
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