③明暗馬車の向かうままに

タダの人間。


博物館の中、"地球上で1番恐ろしいや強い生き物は何か?"と課題をテーマにした展示物の答えを見ると、大体鏡が置かれている。


何故鏡が置かれているのかという答えは簡単で、"私たち人類が地球上で1番恐ろしく強い生き物"だからだ。


他の生物と肉弾戦なんかしたら、人類なんて脆弱ですぐ殺される生き物だから、弱いという意見もあるだろうけど。


人類が恐ろしい部分は頭の良さ。

モノづくりや住処を発展させるのが、1番早かった生き物だと行っても過言ではない。


そして、もし考えた結果の欠点を考えなかったり、執着するようなこだわりがあると、同種を含めた生き物や地球そのものを滅ぼしかねないのである。


更に、人間は自身の心体の恐れや疲れを感じると、自らの意思で自害を考えてしまう。多種に自殺という概念は存在しないのかはまだ分からないけど、現在の時点ではまだ発見されていない。


頭の回転1つによっては、地球の環境を改悪化してしまったり、生物の種を滅ぼしたり、ましてや自分の意思で死んでしまう……。


多分、そういうところが人間は恐ろしい生き物と考察されているのだと思う。


だから、タダの人間という単語は凄くも怖くも感じてしまう。


もし人より頭の良い存在が居るとすると、その存在はどこまでできてどこまで出来ないのか、行動の過ちによってはどのぐらいの被害を受けるのか予測できない。


更に規約があると考えると、今の状態はその何かの管理下に置かれていたりするんじゃないかとか……ぁあ嫌で仕方がない!


「あっあの……私たち人類より強い生き物が、世の中に存在していると言うことでしょうか?」


「居るよ。居るからこうなってしまったんだ」


不安になっている私に対して、ラルドはさらりと流すように言う。


「まぁ僕らも悪かった部分あったから、どっこいどっこい何ですけどね」


そして、ユキは訳がわからない存在を介護するような発言をした。


状況は変わらないけど、とっとりあえず人類に対して敵対とかはないのは安心した。


そこが問題でも無いけど!

敵対してなくても相手の考え方によっては、恐ろしい状態じゃないか!


人間牧場とか人類で心理実験とかの方が、今の状態だと有り得そうなんだけど!


そんな不安もつかの間、馬車がピタリと止まり、鳴き声と蹄で土を引っ掻く音が聞こえるようになった。

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