With Rose Poison
①明暗馬車の向かうままに
昨日の件で荷物が燃やされてしまったので、心許無い軽い物や貴重品をポケットに入れるだけという準備が終わり。私たちはラルドさんに案内されるがまま、木製の馬車に乗った。
厳重に中を見せないようにする為に小窓は布で覆われていて、電車みたいに両端に取り付けられてある椅子は固くて冷たい。
それから、外はエメラルド陛下やらエメラルド王子やらとオウムのように叫ぶ人々の声が、馬車の音をかき消すぐらいの勢いであちらこちらから聞こえてくる。
この完成は中からも嫌というほど耳に入ってきて、ラルドさんの立ち位置と支持率が凄いことが簡単に理解できた。
「ユキさんのバカ!」
「まあまあユキも見たくて見たわけではないしさ。あれ?今のユキって男なのか?女なのか?」
「……聞かないでください」
馬車の中はこんな話になっているのも知らずに。
私はラルドが凄い人だったとか、いま向かう場所は何処かとか頭になく、ユキに下着を見られた上、柄を声にだされたことの恥ずかしさの方が上回っていた。
「見られるのは先輩だけで十分なんですよ!!」
「え?」
「おっおう」
私の発した言葉に対し、2人は困惑する。
あれ?可笑しいこと言ったかな?
悪ふざけで服をめくったりとか、見せ合いっことか普通に同性同士でしないものなの?
「あっああー言い忘れていたが、今からお前ら2人にはちょうど中心にあるお城。というよりお役所?警察署?みたいな場所でなんか色々して貰います」
話を逸らされた!
普通じゃなかったのか!?
後、説明がふわっとしてて何も伝わらない!
なんやかんやって何!?
「多分、昨日の事件についての聴き込み、八重さんの住所や住民票の作成、魔法規約についての話だと思います」
横からユキがなんやかんやが指していることを説明してくれた。
やっぱり、魔法も厳しいルールとか規制があるんだなぁ。何でもかんでもありだと、人の倫理や生活に影響がでてしまう。
化学や科学が発展している私たちの世界と同じで、魔法は反対のモノだと思っていたけど意外と向こうと変わらないのかも。
「そうそれ、後はこの国や種族についてや、この世界の社会について、まぁ現社といえば簡単か!」
「ふむふむ」
今後の予定を意気揚々とラルドは説明しているのに対し、ユキは何か考え込んでいるのか、馬車に乗ってから元気が無いように見えた。
そして、この勢いのまま、
「でも八重が来てくれて良かった!これでやっと物語が進んでくれる!そして元の世界に帰れる!」
待ちに待った希望の光が来たかと言わんばかりに、目を輝かせる。
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