In a Dream

馴染めないモノ

草が枯れ落ちた真っ黒な木々。月光で雪が反射し、流れ星みたいにピカピカと光っては床に尽き、白い灰が地面を埋めていた。


ここは何処だろう?

森?


何でこんな場所に居るのか、どこに位置するのか分からない。ましてや、どうゆう経緯でここに来たのかさえ理解出来ない。


だけど、ただただ呆然と立って、雪を降り積もる様子を眺めている。


何も考えたくないとばかり考え、景色が綺麗だなという言葉以外、思い浮かべることを拒絶していた。


考えることが好きなことの筈なのに、考えようとする度に力が無くなっていくなんて滑稽だな。


そんな風に自分に対して、自分を自虐するのも馬鹿馬鹿しい気がしてきた。


どっちにしろ今は何をしても、考えても、ここに居る時点で私の頭のおかしいことは変わりないのだから、今は思っいきり馬鹿になればいい。


もういっそ、起こった出来事についても、トラウマについても消してくださいと人に願い縋ってやろうか。


灰のベッドへ勢いよく後ろに倒れ、上を見上げた。枝の隙間から星が散らばり、真ん中が木で割かれた満月が浮かんでいる。


雪で服がシミだしているのに関わらず、不思議と寒さを感じることは無い。寧ろ身体は暑くなっていく。


「いたっ」


不意に雪が目に入ってしまった。

痛みで頬に涙が伝う。


光っては降り積もる水の結晶と、木々の隙間からヒューと風が吹いている音。


ここには慰めてくれる人がいる訳でも、心配してくれるモノも居ないと再認識させられる。


誰も来ない……寂しい。

物静かで動物の気配すら感じられない。


建前だけで生きていったせいで、本音が分からなくなってしまった自分の心の中みたいだ。


一気に寂しい、虚しい、惨めな感情が雪みたいに積もってきて、頬が濡れるどころか顔まで水が流れ出してしまった。


落ちた水は雪に混じらず、溶けていき穴が出来る。自然にも溶け込めない自分が醜くく思えてきて、悲しい気持ちがいっそう活気づいてしまう。


どうしてこうなったのだろう。

本当に何もかも嫌で嫌でしょうがない。


傷だらけの腕で拭こうと必死になるが、湧き水のように溢れては溢れ出して止まらない。


ジリリリリン ジリリリリリリリリリリン


不意に何処からか、合図が流れ込む。

この静かな場所では、登場するはずの無いものが、場内に入ってきてきた。


でも合図の意図は分かっている。

これは起きる時間がきたという命令だ。


"何としてでも目を覚まさなければならない"


目覚ますという大切な指令、絶対に果たしてみせる!


心の中でこう誓い、堅く決意した。

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