③真っ暗な空に星の光を
「うぅむむ」
私は腕を組み頭を整理する。
魔法については詳しく知らなきゃ調べようがない。あの貰った本の中に書いてある可能性が高い。
後、白うさが観察している夜空蕾という人物をみていたら魔法をかけた理由が分かるかもしれない。
読書しているだけの様に見えるけど、何か深い意味、もしくは暗号が……。
観察していると夜空蕾は本を閉じ、ため息を付く。そして、あからさまに渋い顔をしながら本棚の本を漁り始めた。
「夜空さん、何かイライラしている様子ですね。」
「そうですね。まぁ原因は多分……」
白うさは耳をタランと下げて目を逸らす。
「oh……」
はい。
原因は白うさですね。
冷や汗をかいている彼を横目で見ていると、
たたたたたっ!
急に右側に本棚を跨いだ所から軽やかな足音が聞こえてきた。うろちょろと迷い足をしている様子はなく、一直線に学生創作本の場所へ向かっている。
「あー……来ましたか」
その足音を聞いた白うさは冷や汗をかいて俯く。更に恥づかしいそうに顔を真っ赤にし、熱を帯びる。
彼の様子からして恥づかしい思い出や、誰にも知られたくないモノを暴露されてしまう前のような感じだ。
更に''来ましたか"というセリフを言った時点で、彼が過去に体験したことがあり動きや正体が予測できる。もしくは、日常的に行われていて習慣化されている動き。
「やっぱり、記憶をリアルに投影する魔法で間違えない!」
推測が合っていたことの嬉しい気持ちが、私の口角が表現している。もう1つの嬉しい出来事の分も含めて。
白うさが人差し指を口元に置き、必死にしーっしーっ!と静かにしろと言ってくるが気にしない!
「そして白うささんの様子からして、足音の正体は川口彩花!!」
駆けている人の全身が視界に入ってくる瞬間に目をキラリと光らせ、指を指した。
しかし堂々と大声を出し、人を指で指したことが非常識なことをしたのが申し訳なっくなってしまい、顔が真っ赤になりしゃがんだ後、指した先をみた。
先には白く短い髪に薄桃色の目で、何処か可愛らしげのある男性用の制服を着ている人が居た。顔つきは白うさそのもので、彼が川口彩花をコーピーペーストした後にうさ耳を付け加えているよう。
「……ですよね?」
こう小さい声でポソッと白うさに聞く。
彼は耳をピクつかせながら頬を赤らめて、静かに頷いた。
男性用の制服を着用しているという事実が恥づかしかったのかな?
そんなこと考えていた時だった。
学生服の川口彩花が夜空蕾を見つけた途端。
「つっーぼみっーー!!」
「ヴア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!?」
夜空蕾に目掛けてまっしぐら。
軽々と両腕で彼女を持ち上げてグルグルと回りだす。
「oh……」
私は白うさの印象と川口彩花の行動のギャップに驚きが隠せない。
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