①真っ暗な空に星の光を

「あ、あの……真っ暗で何も見えないのですが……皆さんどこにいらっしゃいますか?」


暗闇の中で私は声をだし呼びかける。

しかし、返事は無く人気も感じられない。


「えぇ?」


さっきまで2人ともいたのに。


わざと無視されているのかな?

いや、そんなことより。


これは……やっぱり魔法なんだろう。

流石に信じざるおえない。


だって、少女の手から黒いモヤがでてきたり、こんな真っ暗な空間に移動するなんて不思議だと思うから。


なら、彼女は魔法のことを信じてもらいたくて使ったことになる。


そうなるとまだ分からないのは、この学生証についてだ。魔法を発動させる為の条件か他に何か理由があるのか。


でも……今はこんなことより。

私は暗闇の中、1人で体育座りをし、顔を伏せる。


「……寂しい」


涙がポロポロとでてきた。

ここに来てから可笑しいことだらけだし、知り合いは1人も居ない。

そして極めつけは、真っ暗な空間に誰もいない場所に閉じ込められるなんて。


……私、何かやっちゃったのかなぁ。

確かに学校では先生にしつこく銀の鍵事件について聞いたり、3年生の教室をうろついたりしたけど、犯罪は犯してない。


……いや、資料室の鍵を針金で開けようとしました。ごめんなさい。


呆然と上を見上げる。

しかし、上も下も右も左も黒い空間が広がっているだけだ。


「はぁ……」


本当に何なんだろう。

ただ銀の鍵事件について知りたかっただけなのに。


私はそんなことを考えながら嘆いていると、


キラリ。


突然1つの小さい白い光が上に現れ、流れ星みたいに落ちていくのが見える。そして、光の数はどんどんと増えていっては、同じように消えていく。


「なになに!?」


立ち上がりキョロキョロと周りを見渡すと、真っ赤な星が鷹のように素早く近づいていることに気づいた。


私は咄嗟に右腕で頭を守り、少しだけ体制を低くする。


だけど、そんなんじゃ守りきれるはずがなく、真っ赤な星がすぐ目の前まで迫ってきて、


キョキョキョキョキョキョキョキョ


と可笑しな音を立てながら私の胸を貫いて、消滅する。


「いぃっ……痛くない?」


こんなことを言っているのも束の間。

突然、胸元が赤く光を帯び始め、今度は鳥の形になり上に飛んでいく。遠くへ行く度に段々と弱々しく小さなモノになり、パーンと花火のような音を鳴らして、消滅した。そして、音と共に赤白い波紋が空間に広がっていき、真っ白な光が空間を覆った。


急に真っ暗な空間から、光に包まれたものになったので、私は細目にならざるおえない。やっと目が慣れてきて眼をきっちり開けた頃には、白い空間とは別の場所になっていた。


「……ここは」


私は驚いて、体が硬直する。

自分が良く知っていて、馴染み深い所でもあるからだ。

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