KAC3「シチュエーションラブコメ」 包容力を見せたい先輩、子供扱いしたい後輩

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PN:海水


 こんにちは、はじめまして! 海水と申します。

 人づてで、「ここへ何かしら相談の連絡をすると、とても良いアドバイスをもらえる」と聞きました。

 もしよければ、私の話の聞いていただけると嬉しいです!


 私はとある研究所に勤めていて、ロボットを作っています。毎日毎日残業残業でもう大変です。でも、私がいる開発チームはみんな優秀で、私も頑張らなきゃって自分を奮い立たせてます。

 特に、チームリーダーがそれはもう格好良くてすごいんですよ! 私よりちょっと年上なだけの美人さんで、よくある「眉目秀麗、頭脳明晰」という言葉がズバリと似合ってしまう人なんです。私の憧れなんです。

 あれ、どうでもいい情報でした、これ。脱線しちゃってすみません。文章直すのがめんどくさいのでそのままにしますね。

その、私、結構適当なんです。適当というか、落ち着きがないというか、子供みたいとよく言われます。自覚はあるっちゃあるんですが、みんなひどいです。そこまで子供っぽくありません。


 それでですね、相談というのは、簡単に言うと「ある人と仲良くなりたい」ということなんです。

 同じ開発チームにいる男性のことが最近気になってて、仲良くなりたいなぁって思ってるんです。

 あ、私は女です。

 その男の人はですね、クールで理知的で、大人の余裕があるというか、色気があるというか、それはもう素敵なんです!

 そのくせ実は私より二つ年下で、すなわち後輩なのですが……。

 とにかく! 私は後輩君と仲良くなりたいんです! あわよくば……げふんげふん。

 

 返信お待ちしてしてます!


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PN:海水


 早速の返信を頂けるなんて、嬉しいです!

 なるほど、年齢の割に大人っぽい男性というのは、意外に誰かに甘えたいと思っていると。

 つまり、あれですね、「包容力」が求められているのですね!

 まかせてください、日ごろから大人っぽい振る舞いを心掛けている私には造作もないことです。


 アドバイスありがとうございます、私からの次のメールを楽しみにしていてください!


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PN:塩


 はじめまして。塩と申します。

 人づてで、「ここへ何かしら相談の連絡をすると、とても良いアドバイスをもらえる」と聞きました。

 といっても、相談というよりかは、誰かに僕の話を聞いてもらいたかっただけかもしれません。


 話というのは、職場に可愛くて仕方がない生物がいるということです。生物と言いますか、人です。僕の先輩です。女性です。

 小柄で背が小さく、子供さながらの童顔で事実子供っぽい人なのですが、自分では大人力が高いと思い込んでいるところがぐっときます。


 今朝のことなのですが、僕が職場に行くと、先輩は僕の机の前で待ち構えていました。僕を見つけるなり先輩は、何を思ったのか、「ほれ」という顔で僕に向かって両手を広げてきたのです。

 この時点でなんかもう、既に可愛いのですが、試しに両手は無視して頭を撫でたら、それはそれで嬉しそうでした。可愛い。

 大人っぽさを出そうとしている人を子ども扱いするのは楽しいことだということに気づきました。


 また面白いエピソードがあればメールします。

 読んでくださってありがとうございます。


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PN:海水


 こんばんは、海水です!

 聞いてください(読んでください?)、今朝早速「包容力」を後輩君にかましてきたんですよ!

 慈愛をもって、日々の残業に疲れ果てているであろう後輩君に、私とハグすることを許してあげたのです。圧倒的包容力。物理的包容力。私ってば積極的。

 そしたらなんと。

 頭を撫でてもらっちゃいました!

 

 ……いえ、嬉しいのは嬉しいのですが、これ子供扱いされてませんか? ハグはされませんでした。

 私、大人の女として見られてないんでしょうか……。

 何か「包容力」をアピールできる方法があれば教えてください……。


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PN:海水


 なるほど、「包容力」とはすなわち「お母さんっぽさ」なのですか!

 早速明日試してみます!


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PN:塩


 こんばんは。塩です。

 面白い、のかは個人の主観によるところですが、少なくとも僕にとっては非常に愉快なことがあったのでメールします。


 例の職場の先輩のことなのですが、なぜか今日一日、やけに僕の世話を焼こうとするのです。

 「喉乾いてない?」「肩凝ってない?」「机片づけてあげようか?」などなど。

 ちなみに机は先輩のほうが散らかってます。お菓子の食べカスくらいちゃんと掃除してほしいものです。

 定時を過ぎてしばらくした頃でしょうか。先輩は「無理するんじゃないよ」となんだか母親のような口ぶりで、えっちらおっちらコーヒーを僕に持ってきてくれたのです。無理しないでほしいのか、カフェインを摂取させたいのかどっちなんでしょうか。

 悪戯心が芽生えた僕は先輩に「お使いできてえらいですね」と言って頭を撫でたのですが、先輩は「えへへ」と嬉しそうでした。可愛い。

 どうという関係でもない異性に頭を撫でられて喜ぶ女性もいるのですね。絶滅したと思ってました。

 「後でジュースを買ってあげます」とさらに言うと、先輩は「わーい」と諸手を上げて喜んでいました。可愛い。



何かあればまたメールします。

読んでくださってありがとうございます。

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