クルーガ王国編
『錬成術とギルガントの関係』 その1
ミリアルド・アーシュタインは、ディビート王国の国王ビート十四世の娘であったシーフィーを王国内にあった安宿に連れ込み、一週間ほど抱き続けていた。
最初は嫌がっていたが、喜びを知ってしまってからは態度が一変して、自ら腰を振るようなメスになってしまっていた。
そうなってくると、ミリアルドは冷めてしまうもので、三回ほど抜かずに果てた後、ここにいるのも潮時などと考えながらシーフィーから突き放すように投げやりに抜いた。
「……もう終わりなのです?」
甘ったるいようなメスの視線をミリアルドが送りながら、猫なで声で言う。
「飽きた」
シーフィーからだらしなく垂れてきている液体を見やりながら、ため息を吐いた。
ミリアルドの分身も、シーフィーに飽きたのか、もうすっかり元気を喪失している。
「今日は……ですよね?」
ミリアルドの真意を探るように、ベッドから上半身を無理矢理に起こしてシーフィーが恐る恐る訊ねる。
「それは……」
そこまで言いかけたところで、ミリアルドの鼻孔を何かの香りがくすぐった。
「……いい女の匂いだ」
ミリアルドの分身がその匂いに影響されたかのように活発になる。
「ミリアルド・アーシュタイン様。正直に言ってやればいいのです。お前に飽きたから棄てる時が来たと」
透き通るような洗練された女の声だった。
「うっ?!」
同時にシーフィーの身体がビクッと波打ったかと思うと、ベッドに沈むように横たわった。
「……お前、殺したのか?」
ミリアルドは咎めるように声の主に殺気の籠もった視線を向けながら、余裕を見せつつも身構えた。
「いえ、眠ってもらっただけです。第三者に聞かれると不味い話ですので」
いつからいたのか。
安宿の窓際に、体格が隠しきれない鎖帷子を着た一人のくノ一が立っていた。
顔を布で覆っているため、目で相手の感情を読み取るしかなかった。
「不味い話なのか。なら、今すぐにでも寝物語として語って欲しいな」
「この王国ではできませんが、私が所属する王国に来ていただければ、私の事を好きにして構いません。それに、飽きたら棄てて構いません」
「俺に依頼したいのは分かった。で、その報酬がお前の身体だけか? それだとちと少なすぎやしないか?」
「十分な金貨、それに、他の方々への報酬も用意します」
「俺達の事は調査済みという事か」
ミリアルドは戦闘する必要性がない事を感じ取り、構えを解いて、くノ一と向き合った。
「私は処女です。あなた色に染められる事を望んで、ミリアルド様に抱かれます」
その一言で、ミリアルドの分身がさらに力を増した。
「ははっ、度胸のある女だな。で、名前は?」
「私はクルーグ王国が国王イーショット・アルマナマの次女、パッツィー・アルマナマです。クルーガ王国では、忍者軍団の頭領をしています」
パッツィー・アルマナマと名乗った女はミリアルドに深々と一礼をし、
「ミリアルド様達には、クルーグ王国でとある者を討伐してもらいたいと思っています」
「どうせギルガントだろ? 誰であろうと報酬さえあればぶっ倒す」
「その言葉を聞いて安心しました。討伐すべきは、錬金術によってギルガントと化した我が父であり、クルーグ王国国王でもあったイーショット・アルマナマです」
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