2番目早押しクイズ
真風呂みき
第1話 俺が2番目だ!
某テレビ局。
新企画の、2番目早押しクイズの番組の収録をしている。何やらテンポの速いBGMの中、イケメンとブサイクと、司会者と客が会場にいて、笑いが起こっていた。
説明しよう!このゲームは、普通の早押しクイズは1番目に早かった人が、クイズに答える権利を与えられる。しかし、この2番目早押しクイズでは、2番目にボタンを押した人がクイズに答えられる権利を与えられるゲームだ。
そこに、俺様、須田マサキがゲストとして登場することになった。俺様は、最近の若手俳優の中で人気ぶっちぎりでナンバーワンだ。
演技も家柄も歌声もパーフェクッ!
俺様も俺様に惚れちまうほどの才能の持ち主だ。
しかし、ひとつの欠点は俺様は超せっかちなところ。しかし、欠点と言っても忙しいこの芸能の世界ではせっかちで困ることは無かった。時間には正確なため、むしろ信頼される。
それが、何たるザマだ。
「おおーーーっと!須田マサキくん!1問も答えられていないー!?」
うるせぇ司会者が俺をコケにする。
そう、俺はボタンを2番目に押すことが、一向にできなかった。
なぜなら、俺が超せっかちということもあったが、それ以上に対戦者のブサイクお笑い芸人がとてつもなく、ボタンを押すのが遅いから。
まるで、スローモーションのように手が動く。
奴は、素でやっていると言う。
ありえない。
もうネタだ。
しかし、今のところ連続でクイズには答えている。
いちごを英語でなんという?
とか、その程度のクイズを奴は馬鹿だからなのか、レッドベリーって言いやがった。
そして客になぜか大ウケしてキャーキャー言われてる。
そして俺の事は誰も見ていない。
悔しい。くそが。
なんで2番目なんだよ!!!
微っ妙なんだよ!!
こんな急かしてくるBGMだし、早く押さなきゃって思うだろーが!
せっかちで困ったことがなかったのに、こんなくだらないクイズに参加すら許されない上に、存在感が薄くなっているという現実に俺のプライドはずたぼろだった。
俺は半分キレつつ、ラストのクイズにとりかかる。
すると、ブサイク芸人がヒソヒソ声で話しかけてきた。
「須田くん、押したらアカンで!ラストは君が答えるんだよ!」
「……ふふ、わかってるよ。(てめーが異常におせーだけだよおおおおおお!)」
「ホンマにな!?ワイ、遅くてイラつかせてまうかもだけど、絶対に押したらアカンで!」
「う、うん……」
敵のはずなのにそこまで応援されると、良い奴だなと思った。だから、こいつが押すまで俺は我慢しようと決心した。
案外良い奴じゃん、このブサイク。そう思っていると
じじゃん!
ラストのクイズが出された。
問題は「トマトを英語でなんという?」
きた!
俺様は、隣のお前を見た。
奴は、スローモーションでボタンを叩きにかかる。
2番目は、絶対にこの俺様だ!!!
はやく、おめーはボタンを押すんだー!!!!!!
ブサイク芸人は雄叫びを上げながらボタンへと手を振りかざす。
う
お
お
お
お
お
お
お
お
お
お
お
お
お
お
お
おおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおお
「ってまだ叩かないんかーーーーーーい!!!!!」
バチコーン
俺は1問も答えられずにクイズの収録が終わった。
2番目早押しクイズ 真風呂みき @mahuromiki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます