tips:あるパーティーのキャンプ中の一幕

「いやほんと、女騎士さんなんでも出来てすげーよ」

「本当ですよね。剣の腕は御膳試合で女性初の準優勝ですし、剣の他に弓や槍や盾でも戦えるなんて万能すぎます」

「しかもあの年で魔導学校の校長であるワシに匹敵する魔導使いでもあるからのぅ。ワシもまだまだ修行が足らんわぃ」

「攻撃魔導だけではなく治癒魔導も一級品ですしね。教会で一番の治癒魔導の使い手と言われた私ですが、もしも女騎士さんが治癒魔導だけに専念していたら私なんてとても」

「アイツ精霊トモ喋レタ。召還魔導ノ適正モアル」

「あの方は戦闘面だけじゃなくて金銭面でも万能です。流石は大公の娘なだけはありますな。帳簿を付けるのは負けませんが、目利きだけなら彼女のほうが上でしょう」

「大公ってどのぐらい偉いんでしたっけ?」

「簡単に行ってしまえば国王の次に偉い貴族じゃのぅ」

「国で二番目!?」

「そうです。本来ならば普通に暮らしていれば何不自由ない生活を送れるお嬢様なのですよ」

「マジかぁー。俺、女騎士さんがついでに洗濯するからって下着を洗濯してもらった事ある……」

「あー。女騎士さん、そういう所ありますよね」

「確か彼女は魔導学校では寮に入っていた筈ですな。あそこは基本的に何事も自分で管理する必要があるので、大公の娘といえどもそれぐらい出来るのでしょう」

「そういえば寮母が知り合いですが『いつも私より早く起きて掃除や洗濯をしようとする生徒が居るから困る』と言っていましたね。男の下着はお兄さん達で耐性があるのでしょうか」

「女騎士さんっていつも身だしなみも完璧だし、綺麗好きですよね」

「オレノ体モ洗ッテクレタゾ。ママミタイダッタ」

「妹も何人か居たみたいで、面倒見が良かったと聞きます」

「一緒に風呂……ゴクリ」

「勇者さん?」

「いやいやいやいや、あのスタイルは女性でも気になるっしょ?っしょ?」

「それはまあ、そうですけど…背も高いし、出るところ出てるし…」

「神に仕える身なので下心はありませんが、美しさとしてなら女騎士さんの肉体美は私も分かります」

「いやぁ、すごいですよね。ええ、大胸筋とか、ええ、色々」

「はっきりとおっぱいが大きいと言えばいいじゃろぅ」

「尻モナ。尻ガ大キイノハ良イ子ヲ産メル証ッテバッチャガ言ッテタ。オレモアレグライニナリタイ」

「ちょっと、そういう話は女の子の居ないところでお願いできます?」

「ごめんごめん」

「楽しそうな話をしてるじゃ~ん。私もスタイル良いんだよ?ほら、ほら」

「うわっ!?」

「あれ、女盗賊さん。見張りはいいんですか?」

「あ、女賢者ちゃん顔怖い。分かったって、勇者ちゃんから離れるって」

「確かに見張りはどうされたのですか?この辺りは比較的安全とはいえ警戒が必要と先ほど仰っていたはずですが」

「ん、ああ。あれね。女騎士ちゃんがこの辺の魔物全部倒しちゃったから必要なくなった」

『『えっ』』

「なんかね、最初は私の真似して魔物に気付かれないように色々してたみたいなんだけど、途中から気付かれないようにするのが難しいからって魔法で音と姿を消して、なんか精霊?に話しかけて分身作って、そのまま分散してぐるって走って周って、見かけた魔物を丁寧に急所だけ刺して倒してたみたい」

「そ、それは…」

「すごいよね~。あんだけ色んなスキル使えるの。もうあの娘一人でいいんじゃない?」

「さ、流石に女騎士さんとはいえ疲れがありますし、彼女一人で旅は難しいでしょう…」

「体力も傷も自分で治せるしポーションも作れるのに?」

「………」

「それに色んな街で優遇してもらえるのって女騎士ちゃんの顔が広いからだよね?」

「……確かに」

「ぶっちゃけあたし達って女騎士ちゃんの劣化版じゃん?誰かあの娘に勝てる」

「無理ダナ」

「っねー?だからさ、次の街ではもうちょっと女騎士ちゃんに楽させてあげよ?いつも頑張ってもらってる分、休んでて貰お?」

「お、それはいいですね」

「ふむ、一時パーティーから抜けてもらって休養して貰うのは有りですな」

「確か次の町は嬢ちゃんの親戚が居るのじゃろう?ちょうど良い機会じゃ」

「これだけ頑張ってるんですもの、確かにいい考えかもしれないですね。女盗賊さんもたまには良い事言うじゃないですか」

「ひっどーい。あたしはいつも良い事してるし言ってるよ?ね、勇者ちゃん?」

「は、ははっ。じゃ、じゃあさ、次の街でオレが女騎士さんに言うよ。『ちょっとパーティーを抜けてみないか』って。『そんなに頑張らなくても、もっと皆に任せて二番目でもいいんじゃないの?』ってさ」

「おっ、流石リーダーじゃ~ん。女騎士ちゃんって真面目すぎるところあるし、任せたよ?」

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