5

結末なんて、分かってるでしょ

「ねぇ、どこに行くの?もう遅いよ。」


不安そうに話しかける彼に私は答えない。


「サキ?聞いてる?」


私は、彼が手を離さないようにぎゅっと握りしめながら宿舎を出て教会へ向かう。


未だに、迷いはある。これで本当にいいのか怖い。彼はすごくは不安そうに私の手を握っている。


「あのね、コウタ…。」


久しぶりに彼の名前を口にした。なんだかちょっと、恥ずかしかった。

ゆっくり振り返りながら、彼の顔を見て、


「私、これからもずっとコウタと一緒にいたい。」


声が震える。

彼は私の言葉になにか返してくるのだろうか。


「ありがとう…。でも、本当に契約するの?あの、黒いものと。」


「……知ってたの?」


「そりゃ、不思議すぎるし…。」


ふふ、と彼は笑った。

私もなんだか、気が抜けて、くすっと笑った。

彼がぎゅっと私の手を握ってくれた。ちょっと驚いて、彼のことを見ると、優しい顔をしてた。


「僕も、サキと一緒にいたいたいよ。」


そう言う彼に、私は顔をピンクにした(と思う)。


それから、教会のベンチに座り、朝が来るのを2人で待った。

眠たかったけど、彼の方に頭をあずけて祭壇を黙って2人で眺めていた。


もちろん、私たちの手はぎゅっと握ったままだ。

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