4
溶ける灰色、混ざる青
あれ…。ここ、どこだ?家に向かって歩いてるはずが、迷ったのかな。
「きゃー!あはは!」
「まてー!」
声が聞こえた。そこには教会があった。柵のところから覗いてみると、
ふと目に入ったのは灰色の髪だった。
とても楽しそうに、走り回っている。
僕は、なんだか胸の奥が苦しくなった。
「お前の目、変!」
「ほんとだ!みんなと違う!なんでー?!」
どうして。
どうしてあんなに楽しそうなんだろう。
みんなと違うのに、なんであんなに気にせず笑っていられるの。
「何してるんだい?」
胸を抑えて柵の方を睨んでいると
声をかけられた。
僕はハッとして声のするほうを見る。
「えっ、と……。」
黒い服を着たおじさんは、僕の目をじっと見つめた。すると
「今日はここに泊まっていきなさい。」
とにっこり笑ってそう言った。
すたすた歩いていってしまうので、僕は急いで後を追う。
「ちょっとここで待っていておくれ。」
そう言われ教会のベンチに座った。
ガチャっと音がした。
僕はびっくりしてベンチの陰に隠れた。
「ねぇ、神様!」
女の子の声だった。
恐る恐るベンチから顔を出す。
「私、今日もすごく頑張ったの。偉いでしょ?」
彼女は笑っているような声で元気に祭壇に向かって話しかけている。
「だからさ…。」
彼女の言葉が詰まる。
「だからさ、いつか、自分と似た人に出会わせてねっ。」
えへへ。と言って彼女は教会を出て行った。
サラサラとなびくその髪色は灰色だった。
僕は彼女のことをからかってやりたくなった。
彼女が学校から帰ってくる帰り道に待ち伏せした。
「はやくはやくー!遅れちゃうよ!」
「待ってよー!」
あの夕日の綺麗な日、溶けそうな灰色の髪を横目に、夕日を眺めながら
僕は彼女の方に向かって歩いた。
「あ、あの!」
運良く彼女は僕に話しかけてきた。
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