約束

『お前はそんなにあいつを好きか?』


好きです。


『会いたいか?』


会いたい。


『いなくても生きていこうと決めたんだろ?』


でも、会いたいんです。


『ワガママなやつだな。』


分かってます。でも、彼に会えるためならなんだってします。


『そこまで好きなのか?』


…。はい。


『そうか。』




『分かった。叶えてやろう。』


本当ですか?


『その代わり、条件がある。』


条件?


『お前とあいつの共通点を1つ。私に捧げろ。』


えっ…。彼とわたしの…?


『そうだ。』


い、…いやです!そんなの!だって、これは唯一の…!!


『そんなこと、どうでもいい。会いたいんだろう?』


だからって…、


『お前の望みを叶えてやろうとしてるんだ。そのためならなんでもすると、今言ったろう。』


でも、それとこれとは…!


『別だというのか!甘ったれるな!無理なことをお前は頼みに来たんだ!自分でもわかっているだろう…!』


っ……!


『今からでも遅くはない。さぁ、考えろ。』


わたし…私は、彼に会いたい!


『決まりだな。』


…。


『忘れるなよ。これは約束だ。またお前に会いに来るからな。』


……。


するすると消えていくそれを彼女は涙をこらえながら、見ていた。


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