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わたしたちの日曜日
それから数日後、彼は教会にやってきた。
「あの。」
彼は花壇に水をやっている彼女に声をかけた。彼女は振り向くと、びっくりした顔をした。
「き、来て、くれたんだ。ありがとう…。」
おどおどと、戸惑う彼女を見て彼はくすりと笑った。
「え、なにか、変…?」
とビックリして彼女は自分の顔が変なのかと思ったのか、ぺたぺたと頬を触った。
「いや…。なんか、この前と少し雰囲気が違うなと思って。意外と普通の子なんだね。」
意外とはなにか。彼女はぐーにした手に顎をのせ、考える。
「いや、ほんとに気にしないで。」
そう彼が言うと、彼女は目をまん丸にして、頷いた。
ちょうど今日は日曜日だし、礼拝していってほしいと彼女が切り出し、二人で教会の中に入る。
中には大勢の人が座っていて、静かに祈りを捧げていた。歌を歌い、神父の言葉を聴くと、みんな少しずつ帰っていく。
やがて、二人だけになると
お互い、自己紹介をした。
「名前はなんて言うの?私はサキ。」
とサ彼女が言うと、
「僕はコウタ。」
と彼は笑って返した。
「……。」
「……。」
沈黙が続く。
「ひとつ聞いてもいいかな?」
彼は微笑んで質問した。
「どうして僕に話しかけてくれたの?」
サキは少し、不安そうな顔をして、
「その、瞳。」
と言うと、サキは自分の髪の毛を触った。
「似てる、と思ったの。」
彼女は彼の顔を伺っている。それに気づいた彼は、
「そっか。ちょっと嬉しいな。」
と言って少し笑って見せた。
すると、彼女も安心したように笑った。
それから二人は日曜日、この教会で会うようになった。
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