第7話エピローグ

気づけばもう十時を回っていて、みんなとっくに起きていた。

 日が眩しい。本当に変な夢だったな。まさに、正夢となった夢だけどね。

「おっ、やっと起きたわね高柳。お寝坊さんだこと」

 起きたら、ユウナが目に入ってきた。

「ん。ユウナか、おはよう」

「おそようの間違いでしょ」

 高柳は、周りを見渡した。社内には、ユウナと俺しかいないみたいだ。もしかしたら、外に誰かいるかもしれない。そう思って、起き上がると。

「みんな帰ったわよ。ここに居るのは、私たちだけ」

「そうなんだな」

 今は九月。残暑が続く日々。社内に居ると、涼しい。そのため、しばらくここにいたかった。

「ねえ、高柳」

 ユウナの心臓の鼓動は早くなった。夏の暑さもあって、顔が赤くなる。

「何だユウナ?」

 ミィンミンミン、と蝉の鳴き声が外から聞こえた。

「好き……」

 ミィンミンミン

 ユウナが小さな声で言った。その声は、蝉の声に邪魔されて高柳には聞こえなかったらしい。

 よかった。聞こえなくて。恥ずかしいよ。

  第一、何で今言ったの? 暑さで私、気が動転しちゃってるのかしら。ユウナが心の中でそんなことを思って、気を紛らせた。

「なぁ、俺からも言いたいことがあるんだ。先に言っていいか?」

「あ、ど、どうぞお先にぃ」

 少し焦って返答した。

 まずは心を落ち着かせなければ。

「好きだ!」

 高柳の声は、はっきり大きなものだった。

「えっ? す、好きって何を?」

 聞き間違いか? やっぱり暑さでどうかしてるんだ私。

「ユウナのことだ。本当に好きなんだユウナが」

「えっ、えっ」

 予想外の展開についていけないユウナ。

 私が告られてるの? 両思い? 何で。こんな偶然があるの?

「ユウナ。これからも一緒にいてくれるか?」

 高柳は真剣な表情で、目を合わせ言ってくる。

 ユウナは混乱した。何が起きてるの?

 ユウナの頭の中は、ごちゃごちゃになっていたが、脳がある指令を出し、解決させた。

「はい。喜んで」

 ユウナは、顔を赤くしながらも、笑顔で、高柳の顔を見てはっきりした声で言った。

 高柳も笑顔だった。

 そこの空気は、夏にも関わらず、柔らかな春の日差しが差し込むような、幸せな空気であった。

 そして二人はキスをした。

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宇宙生命論 高柳の神 @warudody

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