いつも2番目

理系の作家

第1話 昔話

「おばあちゃん、私また運動会のかけっこ1番目だったんだ!」

「おー、そうかいそうかい。立派やのー。」

「おばあちゃんってかけっことかしたことあるの?」

「あるさあるさ、いっつも2番目だったけどね。」

ここから私のおばあちゃんの昔話が始まった。




「京子ちゃん行っけー!」

「京子行けるぞ!」

………………

2人の生徒がゴールテープを切る瞬間さっきまでの応援の声が途絶え皆その瞬間も見守った。

「あー、惜しかったのに。」

「京子ドンマイドンマイ!」

やっぱり今回もかけっこは2番目だった。


「ハー、また2番目か〜悔しいな。」

「京子惜しかったのにね!」

「京子は頑張ったよ。」

「でも凄いよ、いっつも2番目なんだから!」

「ありがとうみんな。」


今度はクラス対抗のリレーでアンカーの私はギリギリ1番目に回ってきた。

2番目と3番目は結構な差があるが1番目と2番目はほんとに僅かな差だ。

それに相手のアンカーは京子よりも足が遅い。

(ついに私も1番になれるのかな……。)

そうふと思った。そしてバトンを受け取り走った。

「京子〜、そのまま駆け抜けろー!」

「いけいけー!」

「行けるぞー!あっ!京子大丈夫〜?」

なんとトラックのカーブのところでまさかの転倒。

すぐに立ち上がって抜かそうとしたが抜き返せず結局2番目に終わった。

「京子、気にしちゃダメよ。」

「うん。」

「京子、気にすんな!」

クラスの全員から励まされた。

そうして運動会は全て2番目にしかなれず終わった。



私はテニスを習っている。

そして今年最後の大会がやってきた。

「京子頑張ってね。私も観客席から応援してるからね。」

「うんありがとう!頑張るね。」


「京子頑張れ〜!」

そんな応援を背に私は初戦を危なげなく勝ち上がりそのまま勢いに乗り準決勝まで来た。

しかし、今私は相手に1ゲームとられその後1ゲーム取り返したものの相手のマッチポイントだ。

「京子ー!諦めないでー!今度こそは2番目を超えるんでしょ!」

その言葉が聞こえた私は諦めかけていたが一気にやる気が出てきた。

(そうだ!今度こそは……。)

そしてどんどん追い上げていきデュースになった。

そして、また1点決めついにマッチポイント。

そして私のサーブだ。

(この1回で決める!)

そして一気にラケットを振り抜いた。

「うわぁー!!」

この試合を見ていた人が驚くような鋭いサーブが決まった。

決勝進出だ。

「京子、やったね!」

「まだ決勝残ってるよ〜。」

「そうだね!しっかし今のサーブ凄かったよ!」

「そうなの?見てる余裕がなかった。」

「そうだよねあんなの打ったら。」

「うんさすがにね。」

「まあ決勝も頑張ってね。また見てるから。」

「じゃあ後で!」

「じゃあ!」


そして決勝戦が始まった。

しかし、全然サーブもレシーブも入らなかった。

そのまま決勝戦はストレート負けした。

「京子、おつかれ。あれだよ相手が悪かった。それに緊張し過ぎだよ!」

「うん。応援してくれてたのにごめんね。」

「ほら泣かないの。京子は頑張ったよ。ほら表彰台に上がれるんだし。」

「ありがとう。じゃあちょっと行ってくるね。」

「行ってらっしゃい!笑顔ね笑顔!」

「うん!」

そうして表彰台に上がって銀色に輝くメダルを首にかけられた。




「そんなわけで、私は2番目しかないのよねなったこと。」

「そうなんだ!」

「1度は1番目になってみたかったな〜。」

「おばあちゃんは1番目じゃないけどもう1番だよ。」

「え?」

「私にとっての1番のおばあちゃんだよ!」


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