03|台風19号と『3・11』のこと

2019年10月12日。

未曾有の大型台風が日本に上陸し、猛威をふるいました。

みなさん、大丈夫でしたか?


私は、東京の片隅で、とつぜん鳴り響く、暴力的とも思える緊急避難警報におびえながら一夜を過ごしました。

じつは、私が住んでるアパートのすぐ目の前が《荒川》で、ニュースでもふれていましたが、荒川は過去、昭和34年の伊勢湾台風のときに氾濫し、大洪水を起こした川なので、世の中の人たちも『荒川やばいぞ!』って空気が流れていたこともたしかだし、じっさい、かなり水位もあがっていたので、警報が鳴るのはしかたのないことです。が。


それにしても――立て続けになんどもなんども『やばいぞ!』『死ぬぞ!』『非難しろ!』といわんばかりに鳴りひびくのは、さすがにしんどい…。


私の部屋は2階だし、浸水してもとりあえず安全。

だいたい《非難》といったって、ハザードマップにある緊急避難場所は荒川の河川敷です。河川敷非難場所がないって、いったい…。


しかも、荒川情報にまざって、『綾瀬川が氾濫警戒水域に達しました』って。

「……そんな川、知らねーよ! どこの川だよ!」

って、思うよね?^-^;


もう、大混乱でした。


けっきょく、荒川が氾濫することはなく、一夜明けた空は快晴で、道路は夕立のあとのようにキラキラと輝き、あの、思わず身がすくむような暴風の音、窓に叩きつける豪雨がウソのようでした。


私はいつも最寄の駅まで、約2キロの道のりを歩きます。

途中、荒川にかかる橋をわたってゆくんですが、そこで見た光景…いつもだったら、野球少年たちが練習試合をしているグラウンドが、消えていました。


川と一体になって、ごうごうと大河となって流れている。

その川の真ん中あたり…水量のいちばん多い場所では、流れ同士がぶつかって大きな波ができ、ところどころで《鳴戸の渦潮》のようにうずを巻いてうねっていました。


「うわぁ…これが、自然の猛威ってやつなんだなぁ…」


ため息しかでませんでした。


大災害では、いつもの風景が一変してしまう。

日常をうばわれてしまう。


通勤電車の中で、私はずっと考えていました。

あの『3・11』のことを。


今回の台風19号で、人間に、いったいなにができたでしょう。

災害後には、救助、援助、いろいろできますが、いま、まさに災害が起きているそのとき…その自然の猛威に対して、人間はなんて無力で、なんて小さく、なす術もないんでしょう。

ただただ、『危険です!』とスマホに緊急避難の呼びかけをするぐらいしか、できることがありません。


『3・11』の東日本大震災のときも同じです。

大津波に流される人たちを、その情景を、ただただ見ていることしかできなかった…。


今回の台風19号のニュースで、ある地域の老婦人がぽつりとつぶやいた言葉が耳に残ります。


『これも、運命さだめだ』…と。


誰も自然には逆らえない。

生きるも、死ぬも、運命さだめのまま――私も、そう思いました。荒川が氾濫しなかったのも、神様がわたしを『生かしてくれた』からだと。


しかし――


じつは、話は、ここで終わりません。^-^;

じつは、後日――びっくりするニュースを耳にしてしまいました。


みなさん――

この《自然災害》と思われている台風19号、じつは半分は《人災》だったってこと、知ってますか? もう、あっちこっちのニュースで報道してるから知ってる人も多いと思いますけど、じつは、地球温暖化による海水温度の上昇と海面の高さの上昇があいまって、ふつうの(?)大型台風の勢力を倍増させてしまったらしいです。


思い返してみれば、『東日本大震災』のときも、地震・津波は自然災害だとしても、原発事故は人災です。あの事故で、いったいどれだけの人が命を落とし、風評被害という悪意に苦しめられてきたでしょう。


これは、運命さだめとかいってる場合ではないですよ、おばあちゃん!

神様がお決めになったことでもない。

てめーたちで、てめーの首をしめているにすぎない。

きっと神様は『自業自得です…』と、いって、ため息ついてるんじゃないかな?


しかも、今回のような《モンスター台風》は、これから、もっともっと増えるらしい。


人間って、バカだよね、ほんとうに…って、思う。


でも、自分も、その人間のひとり。

そのバカのひとりです。


明日から、みんなで《省エネ》してゆきましょう。

とりあえず、これ以上、人災被害で苦しむ人がいなくなるよう、全力で『ストップ、温暖化!』――です。それしかないと、思いました。



*****〔 追記 〕*****


これもニュースの受け売りですが、東京の荒川が氾濫しなかったのは、じつは、埼玉県にある、洪水を防ぐための地下放水路と、緊急時には湖のように川の水をためる公園があって、そのおかげだったようです。ようするに、インフラがしっかり整備されてたんですね。


けっきょく、都心でなにかあったら国の機能がストップしてしまうから、東京は、江戸城の城下町のように、国が守っているらしいです。

逆に、地方は、そういう心配がないため、わざと川を氾濫させて、被害を最小限におさえたりしているとか…。

なんか…そういう背景を知ってしまうと、すごく複雑です。


亡くなった方々のご冥福と、3・11と今回と、二度の被害にあわれて絶望のふちにいる方たちの未来に、希望の光が差すことを祈るだけです。

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