2番・目の復讐譚

エトセン

第1話

「…父の最期の願いを聞いてくれるか。」


「はい、なんでしょうか。」


「父の跡を継ぎ、2代目二番ふたつがいもくを襲名してほしい。そして、一番ひとつがいもく様に父に代わって、仕えてほしい。」


「その願い、しかと受け止めました。お任せください。」


「それは、よ…かった………」


「父上?父上!!父上ーー!!!」



初代2番・目は享年52歳でこの世を去った。


そして同時に、当時15歳の少年は、2代目2番・目を襲名した。






それから3年後…


本日は初代一番・目が隠居し、2代目一番・目が襲名披露宴が執り行われる。


しばらくぶりに公の場に姿を現した初代一番・目は、今年で81になり、流石に老いには克てなかったのだろうか、車椅子に乗って登場した。


続いて、本日の主役2代目一番・目も登場し、壇へと上がった。



「本日は皆様、わたくしのために、よくぞお集まりくださいました。私は本日より、父の名を継ぎ2代目一番・目を襲名す…」



…バン!バン!



突如、会場には銃声が鳴り響く。



「キャーーー!!!」



会場は騒然とした。


そして、会場の人々は、次々に会場から脱出している。


2代目二番・目はボディーガードに囲まれてて、すぐに脱出した。


しかし、初代一番・目は、ボディーガードが守らりながら、避難させようとしたが、次々と彼らも撃たれた。



会場には初代一番・目と1人の青年だけとなった。



「は!は!は!この時を待っていただぞ!一番・目!父の仇ここで晴らしてくれる!」


「…二番・目の倅か?」


「ああ!俺は2代目二番・目だ!」


「大きくなったのう。それで、何の用だ?」


「お前の首をもらいに来た!」


「は!は!は!」


「何がおかしい!」


「いや、なに、こんなジジイの首が欲しいなんて、お前さんも物好きのう。」


「うるさい!お前は父を、初代2番・目を切り捨てた!『お前は要らない存在だ』と。そのせいで、父は自殺したんだ。父は死ぬ必要なんて無かったんだ!だから、だからお前を殺す!」


「切り捨てた?お前さんは誤解しているようじゃのう。」


「違うって言うのか!」


「ああ、そうとも違うのじゃよ。切り捨てたわけじゃない、解放したんじゃよ。」


「解放だと?」


「確かに儂は初代二番・目に言った。『お前は要らない存在だ』と。じゃが、儂はこう続けたんじゃ、『儂に仕える必要はない。もう自由に生きろ』とな。あやつの忠誠心は嬉しかったぞ。儂を最初から支えてくれた。懐かしいのう。じゃが、儂はもう歳だ。こんな老いぼれに仕えるより残りの人生を楽しんでほしいと願ったんじゃ…。じゃが、伝わって無かったようじゃのう…。」



初代一番・目の目からは一筋の涙が流れていた。



「そんな…嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!」


「嘘ではない!これが真実じゃ。」


「俺は…俺は…あぁーーーーー!!!」
















「はぁ、はぁ、はぁ…。」


「どうやらすっきりしたようじゃのう。」


「…ああ。」


「それで、真実を知った今、儂をどうするつもりなんじゃ?殺すのか?生かすのか?」


「それは…。」


「悩め、悩め。儂はどこにも逃げないからのう。」


「…決めた。お前は殺さない。」


「…であるか。ならば、早う立ち去れ!お前さんを捕まえようと警察がやってくるでな。」


「…すまない。」


「何か言ったかのう?」


「なんでもない!」


「そうか、そうか。」




二番・目は立ち去ったが、初代一番・目はまだ会場にいた。



(2代目二番・目は立ち去ったようじゃのう)


(さて、儂もそろそろいこうとするかのう。)


(あいつの元へ。)









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