第45話 9か月

アキレス腱を断裂して、9か月が経過。

実は、断裂した週の終わりに、ゴルフをしてふぐを食べに行く予定を立てていた。

ゴルフもふぐもキャンセルとなって、9か月。

やっと、実現した。

あの時、予約していたゴルフ場、飲食店。

ゴルフには、最適な秋晴れ。

気持ち良くプレー出来る。

とは言え、足への不安があるため、100%の力では打てない。

プレー後、下関へ。

4年ぶりのお店。

予約をしないと入れない。

元々は、焼き鳥屋だそうだが、ふぐのコースが格安で頂けるお店だ。

量も味も最高。

翌日は、唐戸市場と赤間神宮に参拝。

唐戸市場は、いつ来てもたくさんのお客さんでごった返している。

外国人も多い。

風は強いが、寒くはない。

海沿いのデッキに多くの人が陣取って、食事をしている。

海鮮丼、握り寿司、ふぐのから揚げ、ふぐの味噌汁などを堪能。

赤間神宮は、見るからに竜宮城のような佇まいだ。

小学生の修学旅行以来。

安徳天皇が、あの源平の壇ノ浦の戦いで敗れ、

わずか8歳で入水したとされ、その御霊を祀った場所である。

元々は、お寺だったが、天皇であるということで、神宮となったという。

他では、感じられない趣がある。

耳成芳一の伝説があり、像もある。

是非、一度は行っておきたい場所だ。

脳出血で寝たきりになってしまった元上司のFさん出身地でもある。

今回、赤間神宮でお守りを買うことも目的だった。

アキレス腱を断裂して、初めての旅行だ。

少しずつ、日常が戻ってきているのを実感する。

2日後、U先生の診察。

「動きが出てますね。前回とその前回では、悪くなっている印象だったのに、

そうでもないですね。」

と驚いている。

「O先生にも動きがよくなったと言われました。年明けにMRIを撮ってもらうようにお願いしました。」

「そうですね。今、7割くらいの回復だったとして、手術をして8割、9割になるとしても10割になるかと言われると分からないです。このままでも、まだ回復出来るかも知れませんからね。もう少し、様子を見ましょう。湿布がいる時は言って下さいね。」

湿布?

そうね、歩き過ぎると痛みが出るから、病院でもらえばいいんだ。

診察後、いつものようにリハビリ。

K療法士は、

「足首、柔らかくなってますね。何か、ありました?」

「柔らかいのはいいことですか?」

「もちろん。」

「しこりがあったところですか。何もないと思いますが、お風呂でマッサージはしますよ。」

「随分柔らかいです。歩き方もよくなってますからね。」

痛みが出そうになると気をつけるが、わりと普通には生活出来ている。

走るとか、球技するとか出来ないが、まずまず普通だ。

来週は、会社の今年最後の会議のため、大阪に行かねばならない。

電車の乗り継ぎがきつい。

新幹線までJRは、立ちっ放しだ。

耐えられるかな?

この9か月、一度も電車に乗っていない。

嫌だな。

駅は、階段も多いし。

今は、1年間は、リハビリ頑張ってみようと思っている。

長いな、アキレス腱。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る