第13話:寛太の通信高校講座の勉強

 そうして3月にはカセットを全部聞き終え、次に何したいと言うと小説を読んで

みたいというので俺の本棚にあるものなら貸してやると言った。その後、投資の

勉強を本格的にしたいので、また教えて欲しいと言ったので了解した。更に英語

を話せるようになりてーと言い、歴史、地理にも興味があるとも言い化学、物理

も好きだといったので時間かけても構わないからカセットに録音してあげると

言った。幸夫は安江の言ったとおり寛太は勉強する意欲がある事を再確認した。


 株の方は1977年3月にトヨタ株が上昇してきて600円で売り、利益が

1160万円で残金が1833万円となった。


 その後も寛太の空いてる日は必ずと言うほど熱心に高校講座を聴き、ノートも

とっていて、覚えも早い。8月になり寛太と2人で札幌へ行き北海道大学の中で

入室可能な所を歩いて回り図書館にも入ってみた。スゲー静かだなと言い、なん

とも言えない良い感じだと言った。


 学校卒業した後でも一般教養講座をやっていて社会人や高齢者も授業を受けら

れるんだと聞くと俺も聞いてみたいなと言った。高校講座が終わったら調べてみ

るから一緒に来て見ようと言うと、是非、来たいと言い、その時は連れて来てく

れと、真剣なまなざしで言う素直な顔を見て思わず、熱いものがこみ上げてきて

、涙がこみ上げた。


 その後、寛太が幸夫に向かって、あんたは偉い人だ、本当に優しくて強い人だ

と言い、俺は幸せもんだ、こんなに良くしてもらってと言って抱き付いて泣いた。

 幸夫は、そんな寛太を強く抱きしめた。お互いに、これからも勉強していこう

なと誓い合った。


 その後、クラーク博士の像の前でボーイズ・ビー・アンビシャス「少年よ大志

を抱け」の意味を説明してやると俺もこれからでも遅くねー、大志を抱くぞーと

言った。こう言う寛太の姿を見ていると、立派な1人前の男にしてやらなければ

と思う幸夫だった。


 札幌駅近くで夕飯をとって帰路についた。9~12月で高校講座は聞き終わり、

次は何したいと聞くと英語と投資の勉強と言うので来年はそれで行こうと伝えた。


 その後1978年が明けた。新年の挨拶に嵐山家を訪ねると好恵が苫前商業

高校を卒業して苫小牧の洋品店に務めだした。ゆくゆくはデパートの用品売り場

で仕事がしたいと言っていた。続いて和子が高校の国語の先生の免状を得て、

苫小牧東高校の国語の教師に就任したという知らされ、競争率6倍の試験を

突破したそうだ、和子に直接聞くと、まだ見習いだけどねと笑いながら言った。


 幸夫が突然ちょっと聞いてくれるかと言い寛太の高校通信講座の勉強を約2年

間続けた話しと、今後、英語と投資の勉強をしたい事。また北海道大学の一般人

の教養講座に参加したいという話をした。それを聞いた良三が兄ちゃん、すげ

えなと言った。それを聞いていた、和子は、ぽろぽろ泣きながら、兄ちゃんが、

俺はいいから、お前は大学へ行けと言った日の事を思い出して号泣してしまった。

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