第8話:妹・和子の北大合格と札幌旅行
幸夫が、俺も昔、北海道大学の試験を受けるというと、それが何になるんだと
親父に言われて大喧嘩した事を思い出すよと言い大学出てから銀行に勤め謹厳実
直に上司の言う事を聞いて仕事をしたが銀行から融資した商店主が首つり自殺を
した現場を見て世の中の裏を見た様な気がした。北海道拓殖銀行、北海道唯一の
都市銀行、北大経済学部卒の希望の就職先に入社しエリート街道と思った矢先、
銀行も町のサラ金と一緒ではないかという思いになり馬鹿らしくて仕事を辞めた。
この件で金の恐ろしさを知り、それに復讐する様に、今、投資で世の中から金
をむしり取っているんだと言った。
和子は学校の先生になって良い子を育てて世の中に出していくのか、そりゃー
良い事だ、頑張って努力しろよと肩をたたいた。すると下を向いていた和子の目
から涙が落ちて畳をぬらした。幸夫おじちゃんて、ただ、ぼーっとした優しいお
じさんだと思っていたが、そんな辛い過去があったなんて知らなかったと言った。
最後に幸夫が明日にでも寛太の口座に百万円振り込んでおくと言うと和子達
3人は帰って言った。その後、毎晩、遅くまで和子が勉強してると寛太が幸夫に教
えてくれた。そして運命の合格発表の日を迎え幸夫も近くに神社に行き合格祈願
のお参りをし、11時に電話で和子から涙声で合格したと聞かされ、幸夫は昔の
自分とダブらせて熱いものがこみ上げてきた。よかったな本当におめでとうと最
後は涙声で電話を切った。
その晩、幸夫は大きな豚肉を買って嵐山家を訪ねた。合格祝いだと言って、そ
の肉で合格祝いの焼き肉パーティーをやろうと言い2つのフライパンで肉を焼き
だした。全部、焼き終わり全員で合格おめでとうと言ってから、肉を食べ出すと、
うめー、という声がする中、和子が幸夫の前に来て、本当にありがとうと、お礼
を述べ、次は良い子を教育していくための勉強をしっかりしなさいと言うと頑張
りますと返事をした。この日は日頃、あまり酒を飲まない幸夫も安江と共に合格
祝いの酒を飲んで楽しみ、飲み過ぎて、こたつに入ったまま寝てしまい起きたら、
安江が、朝ご飯の用意を始めていた。すると安江が、もう少しで朝飯できるから
食って帰れというので、みんなと一緒に朝飯をいただき帰って行った。
帰り際に幸夫は、そっと和子を呼んで、これ合格祝いだと10万円の入った袋
を渡し、これは母ちゃんには内緒だぞと言うと和子が、ありがとうございますと
丁寧に、お辞儀をした。4月になり、和子の下宿先も決まった様で引っ越した。
下宿先は札幌中心部、狸小路の土産物など雑貨品を扱う店の2階の6畳を借り
て授業のない日は店番をして働く事になった様だ。6月になり一斉に花が咲く良
い季節となり、それらが散って暑くなり始め7月を迎え、今年の夏旅行は昨年
同様に札幌に行きを計画し、みんなの都合も聞いて7月28日、苫小牧から汽車で
札幌へ、電話を入れていたので、和子が札幌駅に迎えに来ていた。地下鉄に乗り
北海道大学のクラークの銅像を見て広いキャンパスを歩いて回ると二郎や良三、
好恵が、ねーちゃんすごい学校に入ったねと驚いていた。みんなも一生懸命勉強
すれば入れるから頑張れと言った。
今回はジンギスカンを食べようと店を探して入り10人前を頼んで料理が運ば
れてくると待ちかねたように男達がパクパクとすごい食欲で食べ始め20分位で
食べ終わり、ちょっと足りなそうなので大盛りのライスと肉5人分追加した。
安江と幸夫は生ビールを飲みながら、ゆっくりとジンギスカンを食べ20分位
して食べ終わる頃には、もう腹一杯だという笑い声が聞こえた。その後、
札幌テレビ塔をめざして歩いて展望台に上がって、大通公園や札幌の町を
眼下に見て、楽しい一時を過ごした。
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