第3話:幸夫の教え1

 寛太が勉強して上手になれば儲かるかと聞くと幸夫は、そうだと答えた。

株投資の方法を聞いてきたので証券会社に口座を作って、お金を入れて例えば、

トヨタ自動車株を100株、500円で買うと言うと100*500=5万円で

トヨタ株を買ってくれる。それが1000円になり手数料が1000円すると

100*(1000-500)-1000=4.9万円、これが儲け。でも、もし

500円で買って300円になった時は100*(300-500)-1000

=-2.1万円、つまり2.1万円の損をする事になる。

寛太が、そうか面白そうだなと言った。でも投資した会社が儲かりそうか、その

会社の株価が割高のか割安のかを知らないとだめだ、それを知るためには相当勉

強しなければできないと言い知りたいなら株の入門書を貸してやるぞと言ってく

れたので借りることにした。また、わかんないことあれば聞け教えてやるからと

、優しく言うので、その時は頼みますと言い3冊の本を借りていった。5月末に

なって北海道にも桜の季節が到来して、後を追っかけて様々な花達が競い合う

様に一斉に咲き出す一番美しい季節を迎えた。


 

寛太は、その後も朝早く起きて漁協へ行き一生懸命働いていて漁港の食堂や皆さ

んの差入で何とか食べるものには困らかったが食事以外に使えるお金がなく給料

の全てが食費で消えてしまう生活が続き、それを見かねた漁協の女将さん達が自

分の子供の服を与えて残された嵐山家の人達を応援してくれ服やカバンや使え

そうな物を寄付してくれた。北海道の夏は、あっという間に過ぎ去り涼しくなった

と思えば、寒い風に変わり10-11月になり時雨れ、そうして12月、父を亡

くした悲しい年1968年が終わり、1969年を迎えた。


 冬は雪と風で漁協も仕事がなく家にいる日が多くなった。寛太と言えば、幸夫

さんの家に毎日の様に通い、いろんな話を聞き、株投資関連の本も20冊以上読

んで株投資について輪郭がわかってきた。そして幸夫さんが金のためかたを教え

てくれる様になり5万円の給料が入ったとしよう、そしたら、どう使うと、寛太

に聞くと必要ものを買うと答えた。すると買いたい物の合計が6万円だったら、

どうすると更に質問すると寛太が俺は人に金借りるの嫌だから5万円分で我慢す

ると言った。そうか、それは偉いぞ、でも、それじゃ、いつになっても金貯めら

れないじゃないかと言うと、そりゃそうだと寛太が言った。幸夫が、そういう時

には、どうしても必要なもの以外は使わない様にして4万円で生活する様にする

んだ、そうすると毎月1万円ずつ貯金ができて4ヶ月で4万円の金が貯まるじゃ

ないかと言った。


 寛太が、でも我慢しないとできないと言うと、そこだよ金を貯めるというのは、

どれだけ我慢するかと言う事なんだと教え、また人の嫌がる仕事を率先してやれ

と言った。その理由は人は自分にとってありがたい事をしてくれれば、必ず恩義

に感じて恩義に報いてくれんだ。それが、お金だったり、食べ物だったり、着る

もの、使うものだったりするんだ。そういうのを親切貯金と言って自然に入って

くるありがたいお金なんだと教えた。わかった明日から意識して人の嫌がる仕事

をすると言い翌週から大雪でも朝一番に漁協に出る様に意識して人の嫌がる仕事

を率先して、やり始めた。


 すると亡くなった嵐山の所の寛太は偉い奴だと評判になり漁協が休みの時でも

食堂とか近くの商店で手伝ってとお呼びがかかる様になり手間賃をいただき、お

土産をもらえるようになった。確かに幸夫おじさんの言う通りだと思い、その賢

さに驚かされた。その週の休日も寛太は、幸夫さんの所へ行き先週の出来事を報

告した。 

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