第2話:寛太の決意

 葬儀を終えて祝儀袋を点検すると漁協から10万円、山田幸夫5万円、その他

の人達から1万円ずつで13万円、合計28万円、費用が38万円で、不足分の

10万円を嵐山家と山田家から、後日徴収する事にした。翌週、山田幸夫が両家

から残金10万円を徴収しに行き、全て葬儀が終わった後、山田幸夫は姉の安江

に、これから子供達に金がかかり大変だろと言い徴収してきた10万円を渡した。

 すると安江は本当にありがとうと抱き付いて泣いた。泣くのも今日までにして

明日から子供達のために頑張れと励ました。


 幸夫には20万円も出してもらって本当にありがとうねと感謝した。俺は1人

身で何とかやってけるが、安江は子供をしっかりと育て上げる義務があるんだか

ら身体を壊さない様に、うまく、やっていけよと肩をたたいた。数日後、安江か

ら幸夫に電話がかかってきた。用件は、安江の長男の寛太が中学校を出て働くと

言い出して、どうしたら良いかとの相談だった。その晩、幸夫が安江の家に夕飯

のおかずに多くのハムカツとコロッケとメンチカツを買って、やってきた。夕飯

後、幸夫が寛太を呼んで中学卒業して働くんだってと切り出すと寛太が俺が働か

ないと食っていけねんだと言った。


 それに対して確かにそうだな、でも、それで良いのかと幸夫が寛太に聞くと仕

方ねえべよと言うので勉強は嫌いかと聞くと好きでも嫌いでもねー、もし勉強し

たくなったらするから大丈夫だと言い、幸夫が、それを聞いて安心したよと言い

何かあったら俺に相談しろよ悪い様にはしねえからと言うと、わかったと答えた。

 ところで、どこで働くんだと聞くと漁協で船から魚をおろす手伝いしたり市場

の掃除など雑用をしていくと聞かされ、安心した。


 幸夫が、また相談事があったら俺に連絡していいぞとと言うと寛太は安心した

様に、その時は電話するからと笑いながら言った。この話を安江に言うと、でも

高校に出してやんねと可愛そうだよと泣き始めた。そこで大丈夫、寛太には考え

があって言ってるように思えるから好きなようにやらせろと助言した。その後、

母、安江と一緒に漁協の下働きを始めめ、朝は元気に、おはようと挨拶して漁協

の人達に顔を覚えられ可愛がられ漁港の食堂でも人気者になってゴミ捨てや重い

者の運搬の手伝いをして、昼食、夕食を無料でふるまってもらい料理の余り物が

あると袋に入れて持たしてくれるようになった。


 休みの日には幸夫おじさんの部屋に行って音楽を聞いたり珈琲、紅茶と、

お菓子をご馳走になり仲良くなった。そんなある日、おじさんの本棚にある。

 株の本を見つけて株って儲かるのと単純な質問をすると損する人と儲かる人

がいる。つまり、儲け+損=0、正確には、儲け+損-証券会社手数料=0、

となると易しく説明してくれた。

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