蜘蛛の糸を掴む者に、光あれ

 俺とトモキは学校に着いた。途中あったことは、未だに信じられない.......

「とりあえず今日は文化祭だ、例の一年が紛れてなにかするかもしれない。気をつけろよ、あと、楽しもうぜ」

「だな!」

 トモキは実行委員だかなんだかの仕事で、いつもとは逆の方向へかけて行った。

 玄関で靴を入れて、教室へ行こうとすると

「おはようヤマト〜」

「ゆうかじゃないか、今日は仕事頑張ろうな」

「そうだね!」

 ワクワクしていたゆうかの足元に、彼女の下駄箱から、一枚の手紙が落ちた。

「なんだろこれ?」

「ラブレターじゃねぇのか?」

開いて読むと────


先輩、これを読んでいる時には、もう文化祭当日ですね。

私はあの日、あなた達の秘密を知りました。

それと同時に、私の中にある感情も認知しました。

もう抑えられません。

今日、ヤマト先輩を好きなあなたを────


二度と学校に来れなくします。


後輩より


「なに、これ.......」

 あの盗聴犯が牙をむいた瞬間だった。

「何かの悪戯だよ、さあ行こう。」

 そう言って、俺はゆうかをどうにか、なんとしてでも、この現実から離そうと手を引っ張った.......

 彼女の手は、震えていた。


 二つの地獄を味わった俺は、教室にやっと着いた。いつもよりも遠く感じた。

 もう何も混じってない。黄金比率から崩れたこの現状を、深く味わった。

「最後の準備をしよう!」

 俺はゆうかにありったけの元気を見せた。

「うん。そうだね!」

 少し元気を取り戻したようだ。

「すまん、俺一旦トイレ!」

「もー、早く行ってきてよ〜」


────俺はトイレ考えていた。風呂に入っている時と、トイレにいる時は、なぜだか頭がキレる。

 盗聴犯はゆうかを学校に来れなくすると言っていた。しかし、どうやって.......

 俺は最初にいじめを考えた。だが後輩が先輩をいじめることが出来るだろうか.......

 凶器.......?いや、それはないか.......

 俺は考えた、しかし、後輩の犯行だと言うことがどうも引っかかる。犯人もある程度割れている。あの二人のどちらかだというのが俺の予想だ。


 信じたくない自分がいるのか?


 逃げても状況は変わらないんだぞ.......

 やはり、俺は答えを出せないままでいた。

 

────俺はトイレから出た。安心しろ、手は洗った。

 そう、あの時助けるって決めたんだ。見逃す訳にはいかないんだ。そう心に決めて俺は、あのお化け屋敷へと向かった。その途中────


「先輩?」

 背筋が凍りついた。ゆっくり振り向くと、そこには山岸なみえがいた。

「な、なみえじゃないか」

「先輩、なんか疲れてますね、私的には嬉しいです」

 こいつ!やっぱり犯人はこいつだ!

「さっきゆうか先輩と一緒に居るの見ましたよ?なんですか彼女ですか?まぁ、覇気のない先輩は、あんな可愛い子にモテるわけないですよね、すいません謝ります」

「それはどういう意味だよ!」

 くそっ、これが演技ならともかく、本当に言っているのなら、ゆうかと俺の事を知らないという事で、犯人という線は無くなる.......

「まぁ、文化祭頑張ってくださいね?二年生みんな手が込んでてすごいです」

 演技だとしたら、人間不信になるな、これは.......


「あれぇ?先輩じゃないですかぁ?」

 八重桜さきが居た。

「ああはい、先輩ですが何か」

「今日は一緒にまわれなくて残念です、でも先輩はお化け屋敷をやるそうですね、行きますよ!ゆうか先輩と頑張ってください!」

「応援してくれてありがとな!」

 俺も、この状況に慣れてきた。

「それでは!」

 いつも元気な八重桜さきは、ポニーテールを揺らしながらどこかへ消えた。



────もう.......犯人は分かった。

 答えを出す決意をした。


 

 あとはゆうかを守る、ただそれだけだ。

 決心したヤマトの目は、狂い無く未来だけを見つめ、輝いていた。

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