リスタート

  先生の話を聞いたあと、俺は家に帰った。

もしかしたら何かメッセージが来ているんじゃないかと、俺はすぐさまトークアプリを開いた。

  そこには、何件かの通知が来ていた。誰から来たのか確認してみると、今日、それぞれ苦い別れをした3人から、謝罪内容が綴られたメッセージが来ていた。誤字はひとつもない。

  俺はみんなに「ううん、大丈夫」や、「これからも頼む」など、各々に合った返信を送り、どうやら夏休み開けには笑顔で会えそうな状態となった。そして、最後にこう書いた。

「夏休み明けの最初の登校日の放課後、屋上で話がある、と……」


 ────長いようで短かった夏休みも終わり、前日に体力を使い切ったであろう気怠い表情の生徒達の中を、俺は歩いていた。俺も気怠い人達の一味でもある。

 駅から学校へ歩く途中、もうかなえは声を掛けてはくれないのかな、などと考えていると、そのかなえが目立たない狭い路地にいるのを発見した。


「あと少し待っててください……はい、もうすぐなので……」


 何を話しているのだろうと見ていると、かなえがこっちに気づいて、手を振りながら近づいてきた。

「ヤマト!この前は……ごめん!」

「いや、大丈夫、それより誰と話してたんだ?」

「ただの知り合いだよ!早く学校いこ!」

「そうだな、またギリギリ登校ってのも嫌な話だ」

 かなえの足取りは、もうあの日とちがう。一歩一歩確実に踏み出しているが、どこか重みのある歩きに見える。でも、そんな重みは、俺達の関係にとって、大切な重みなのだと思いながら、俺もかなえについて行くように歩き出した……

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