思い思われ振り振られ
俺たちはバーベキューの後散々海で遊び、トモキの告白予定時間を迎えた。 バーベキューのときに真上にあった太陽が、気づけば西に傾いている……
「準備はいいか?東条」
「ああ、バッチリだ、俺とゆうかは自然な感じでトモキとかなえが二人きりになるチャンスを作る、そしてあの草陰から見守ってればいいんだろ?」
「そいうことだ、頼んだぞ親友!」
「おう!任せとけ!」
西へ沈みかける夕日が、俺らを照らし、影がだんだんと伸びてきた。穏やかな波の海面に、鮮やかなオレンジが色付いている。ついに、作戦実行の時が来たのだ。
「なあ、かなえ、俺とゆうかはさっき砂浜で遊んで砂だらけだからよ、あっちで洗ってくるわ、まっててくれ」
「分かったわ」
俺とゆうかはかなえに見えなくなったところでホッと息を吐くと、顔を見合わせて
「上手くいったね」
「あとは見守るだけだな!」
所々しか説明していないのに、わかるなんてやっぱりゆうかは凄いと思った。
そして草陰に隠れたところで、トモキがかなえに声を掛けていた。
「かなえ、今日は楽しかったよ、急に誘ったのに来てくれてありがとう」
「なによ、あらたまって」
笑顔の二人を見ながら、俺は友達の恋の行方を見守っていた。
「ねぇ、ヤマト、まさかこんな時に二人になれるとは思わなかった、この際に貴方に伝えたいことがあるの」
ん?今なんて?
耳を疑う言葉を聞いて驚いていると、トモキも山場を迎えていた。
「かなえ!俺と……付き合ってくれ!!」
「トモキの気持ちは凄く嬉しい、でも私……」
「私、棚橋ゆうかは……」
「「東条ヤマトが好きなの!」」
さざ波が見えないものを残し、見えるものを攫って行った……
夕日の姿は既に無くなり、ただ黄昏が俺たちを取り巻く……
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