ニつの太陽と共に大海原へ!

  そんなこんなでコンビニを立ち去り、ゆうかと別れ、電車に乗った。

 今日も疲れたな……

  そんなことを思っていると、カバンの中に入れていたスマホがひそかに揺れ始めた。開くとそこには────

「今日は急に話しかけてごめんね!」

  なんと、超絶美女の花園かなえからメッセージが来ていた。連絡先交換してないぞ?

「どうして俺のID知ってるんだ?」

「あ、説明してなかったね!トモキ君から貰ったの」

  あいつめ……

「おお、そうなんだな。今日の朝は正直助かったぜ、遅れるところだったよ」

「私もだよ〜!」

  なんなんだこれは、夢か?俺は揺れる電車の中で自分のほっぺたをつまんだ。

「いだぐない」

  どうやら夢ではないらしい。

「ところであの話聞いた?」

  あの話?なんだそれは。

「なんかあったのか?」

「今度みんなで遊びに行くんだよ?夏休みだしね!トモキ君に詳しい話は聞いてみて!」

  またまたあいつか……

  この後、トモキのやつに話を聞いてみると、夏休みだしとかいう意味のわからない理由で遊びに行くみたいだ。メンバーは、かなえ、ゆうか、トモキ、俺の四人。何だこのメンツは。

「いつ行くんだ?」

「え、明日だよ!」

  あいつめ……!!


 ────はい、今日がその明日です。

  第一、遊びに行く日の前日に予定を教えるとかなに?いじめ?

「お兄ちゃん!起きて!朝っ!友達と遊びに行くんでしょ!?」

  俺の妹、トモキとも連絡を取り合っているので予定も知っているようだ……

「子供はペリキュアでも見てなさい!」

「私、中学二年生なんですけど!!」

  ベッドから引きずり下ろされた……

  支度も終わり、出る準備が出来た。

「行ってきまーす」

「はよ行け」

  冷たい……ああ、冷たいよ……

  常夏に冷たい思いをした俺は、集合場所へとせっせと足を運んだ。

「東条!遅かったなぁ!」

「お前からは後でじっくり話をきこうじゃないか……」

「まあまあ、怒らずに、ほら行こ!」

  ゆうかが俺らの間に入って、いつも通りの笑顔でそんなことを言ってくる。

「そうだよ、早く行こう!」

 かなえの声がしたと思い、振り返ると、あまりの眩しさに網膜もうまくが焼けた。

  へー、人って発光するんだー。

 横に二つ目の太陽を感じながら、トモキの家の車でビーチへと向かった。

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