アイスコーヒーとカフェラテ

 先程不良のように殴り込んできた先生?はうちの学校の中でも群を抜いて怖いと言われている碇先生。彼は体育の先生をしており、女子、男子共に恐れる教師だった。

「君たちがここにいる理由は分かるか!おい!佐藤!答えてみろ」

 佐藤はクラスの中でも目立たない方なのだが、体育で先生を呼ぶ時にお母さん、と呼んだことをきっかけに目を付けられている。

「テストで悪い成績をとったからです!」

「そうだ!君たちに残された時間は少ない!分からないところがあればどんどん質問するんだ、いいか!」

「「はい!!」」

 おっかねぇ.....

 ────そんなこんなで始まった授業だが、そろそろ地獄も終わりそうだ。

 なんだこれは、あと10分が1時間くらいに感じるぞ!

 時計を見ながらボケっとしていた俺に、隣に通りかかったのは鬼でした。

「東条、時計がそんなに面白いか。手を動かせ手を!」

「す、すいません!」

 俺の立場になりたいという猛者は喜んで変わってほしい。

 早く、帰りたい、ただそれだけを願うのみだった。


 ────終わった、やっと終わった……

 机上に広げられた教科書を片付け、教室を出ようとすると、1人の女子に声をかけられた。

「ヤマト、今日もひとり?」

 この栗色のショートカットの女子は幼なじみの棚橋ゆうか。

「ああ、いつものことさ」

「じゃあ……一緒に帰らない?」

 ゆうかは、この学校でも俺の幼なじみで通っていて、一緒に帰るのに抵抗はなかった。

「またかよ?まぁいいけど」

「もー素直じゃないなー、ヤマトに拒否権はないの!」

「へーへー行きますよ」

 彼女は頭がいいのだが、自習に来てもいいということで今日も居たようだ。彼女はだいたいこの後コンビニに寄って、アイスコーヒーを頼むのだ。俺は大好きなチョコチップメロンパンを買うのだが……


  ────コンビニに着いた、俺はいつものようにチョコチップメロンパンを買った。しかし、彼女は違った。なぜか彼女は今日カフェラテを買っていた。

「なんだ、甘党に目覚めたのか?」

「んー……新しいものにチャレンジしてみたくてさ」

「コーヒーからカフェラテに変えてチャレンジになるのか?」

「いいの!」


 頬に二つ桃をつくったゆうかは、幼なじみでも見慣れないほど、可愛らしかった。

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